ギガントオクトパスを解体するために
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ユリ達と別れてやってきたのは、本日2度目となる魔物肉専門店だ。
「まさか今日の内に2回もここに来ることになるとは……。」
そう呟きながら、俺は魔物肉専門店の扉を開けた。すると、ジルが奥からやってきたのだが、少し驚いたような表情を浮かべていた。
「おやヒイラギ様、いかが致しましたかな?」
「いや、実はちょっと解体場を借りたいんだけどさ。」
「そういうことでしたら、どうぞお使いになって下さい。」
「ありがとう。助かるよ。」
二つ返事で了承してくれたジルに感謝して、解体場へと二人で向かう。
グリフォンの解体を終えた解体場は、あの後一度掃除されたようで、今は血痕一つ無いほど綺麗になっていた。
「な、なんか悪いな。これ今さっき綺麗にしたばっかりじゃないのか?」
「ほっほっほ、構いませんよ。全て魔法で片付きますから。」
「それを聞いて少し心が軽くなったよ。じゃあちょっと魔物を出すから離れててくれ。」
ジルに少し下がっててもらい、俺はマジックバッグに手を入れて、ブリザードブレスでカチコチに凍らせたギガントオクトパスを取り出した。
「いよい……しょっ!!」
図体相応にギガントオクトパスは重いようで、マジックバッグから出して床に置いただけで、軽く地震のように揺れた。
「おぉ、これは……なんとも巨大で奇っ怪な魔物ですな。」
「ミースが言うには、ギガントオクトパスって魔物らしい。さっきダンジョンに潜った時に倒したんだ。」
「いやはや、本当に近頃はヒイラギ様のおかげで、全く退屈しませんな。こんな見たことのない魔物に出会えるのですから。頭が上がりませんぞ。」
「はは、そこまで有難がられることはしてないと思うけどな。寧ろこんなに魔物を持ち込んで、迷惑じゃないか?」
「ご冗談を。迷惑と思うならば、この老体がここまで滾るはずもございませんぞ?」
「それなら良かった。」
「さて、ヒイラギ様。このギガントオクトパスなる魔物はいかが致しますか?グリズ達を呼んで解体してもらいますかな?」
「いや、こういう魔物は俺の専門分野だ。俺がやるよ。」
そう言うと、近くにある倉庫からガシャーンと何かが崩れるような音が聞こえてきた。
「な、なんだ?」
「ほっほっほ、どうやらやる気満々だった彼らの出鼻を挫いてしまったようですな。」
ジルのその言葉の後、倉庫から頭にたんこぶを作ったグリズ達が出てきた。
「勇者様そこはよぉ、ドーンとオレ達に任せてくれて良かったんだぜ?」
「悪かったな。グリフォンの剥製作りで疲れてるだろうと思ったんだ。」
「ま、良いんだけどよ。ほんじゃあオレ等はこの辺で勇者様のお手並みを拝見させてもらうぜ。」
「あぁ、こいつの扱いには慣れてる。任せてくれ。」
ウォーターブレスで氷を溶かしながら、俺はマジックバッグから魔包丁レヴァを取り出した。
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