登場バフォメット
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特に何かが釣れるわけでもなく浜辺で釣りをしていると、後ろからドスドスと特徴的な足音が聞こえてきた。この足音は多分シンだろう。
特に気にすることもなく、そのまま釣りを継続していたら肩をちょんちょんと指先でつつかれた。
「どうしたんだシン……。」
後ろを振り返ると、そこにはシンの姿はなく代わりに巨大なヤギの顔が鎮座していた。
「ヒイラギ、こんなところで道草を食って何をしている?」
俺の予想に反してそう問いかけてきたのは、他でもないこのダンジョンのボスであるバフォメットだった。
「……逆に聞くぞ。何でお前がここにいるんだよ。てっきりあの部屋から出れないとばかり思っていたんだが?」
「本来はあの部屋から出ることは叶わぬはずだったのだが、実はつい先日ここに妙な女が来てな。そいつが我が自由に動けるように、ダンジョンに何やら細工を施したらしい。」
「おいおい、それは……ちょっとヤバい話じゃないか?下手したら、お前がダンジョンの外に出ることもできるってことだろ?」
「まだそこまでは試していないが、恐らくこの感じだと出られるだろうな。」
「なんか嫌な予感がしてきた……。その女は何か他に言ってなかったか?」
「そういえば、次は勇者の墓とやらに行くと言っていたぞ。そこにいる魔物も解放してやるとか……。」
「…………。いや待てよ?勇者の墓って確か鍵付きのダンジョンだってドーナが言ってたはず。それなら簡単に入れたりはしないと思うんだけどな。」
一瞬ヤバい気がすると思ったが、ドーナがあの勇者の墓というダンジョンには、鍵がかかっていると言っていたことを思い出した。鍵付きのダンジョンには専用の鍵がないと入れないから、問題ない……はずだ。万が一その女が鍵を持っていたら終わりだが……その可能性は無いと信じたい。
バフォメットの話を聞いて少し不安を抱いていると、横からミースの叫ぶような声が聞こえてくる。
「ひ、ヒイラギさん!!まま、魔物が隣にっ!!」
「あぁ、心配することは無いぞ。こいつがこのダンジョンのボスなんだ。」
「な、尚更ダメじゃないですかっ!!」
「大丈夫、こいつは優しいからな。」
「安心しろ小娘、我は弱き者には手を出さぬ。」
そう言っているバフォメットを、シンが警戒しながら睨みつけている。
「大丈夫だよシン。こいつの言葉は信じても大丈夫。」
宥めてもシンの警戒は解けない。すると、ニヤッと笑いながらバフォメットが口を開く。
「ヒイラギ、男というのは言葉を並べても理解はできぬものだ。拳を交えれば、我の意思をわかってくれるだろう。それで構わないな?獣人族の小童よ。」
「良いだろう。望むところなのだ。」
バチバチと火花を散らしている二人の間に挟まれて、おどおどしているミースを連れて、俺はその場を離れるのだった。
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