ミースの災難
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かくして、ミースにウォータードラゴンがお金を稼ぐためにギルドに登録したいという旨を伝えると、ミースは二つ返事で了承した。
「はい、わかりました!ではこちらの書類に記載してある必要事項に答えて頂けますか?」
「わかりましたぁ〜。」
そしてウォータードラゴンがその書類に向かっている間、ミースが彼女のことについて聞いてきた。
「あ、あのヒイラギさん。」
「ん?」
「ギルドに登録する上で確認しなきゃいけないことが一つあるんですけど……ベールさんって大食い以外にも、戦闘とかできるんですか?」
「その心配はいらないと思う。下手したら白金級の奴より強いかもな。」
「えぇ!?あ、あんなにおっとりしてるのに……やっぱり外見だけじゃ、人の中身って判断できませんね。」
「そうだな。ま、彼女をどの区分から始めさせるかは、実際にミースが相手してみればわかるんじゃないか?」
「うぅ、実力を確かめるのも私の仕事なんですけど……ヒイラギさんのお知り合いってすごく強そうな人が多いので、ちょっと怖いですね。」
そんな話をしていると、ウォータードラゴンは必要事項を書いた紙を持ってきて、ミースに手渡した。
「書けましたよぉ〜。」
「あ、ありがとうございます。それじゃあちょっと確認しますね。」
書き漏らしがないか、ミースが確認していると、ある項目を見て彼女は首を傾げた。
「あの〜ベールさん、この年齢の項目が空白なんですけど……。」
「あ、それですねぇ……私自分が何歳になったのか、途中で数えるのをやめちゃってぇ。100から先を覚えてな……むぐっ!?」
「あ~、悪かったなミース。俺が彼女の年齢は知ってるから。そこは俺が代筆しよう。」
その紙にウォータードラゴンの現在の見た目相応の、24という数字を書いて手渡す。そしてまたミースが確認している間に、俺は彼女の耳元で囁いた。
「これからその姿でいる時に年齢を聞かれたら24歳って答えろよ?100とか言うと怪しまれるからな。」
「そ、そういえば人間って短命でしたねぇ……危うく人間じゃないことがバレちゃうところでしたぁ。」
一通り書類に目を通して、確認が済んだところで、ミースはウォータードラゴンを地下の闘技場へと案内した。
ミース直々の実技試験とあって、見物人も何人か見受けられる。
「それじゃあ、一応どのぐらいの実力があるのか試させてもらいますね。武器は好きなのを使って頂いて構いませんよ。」
そう言ってミースは木製の二本の短剣を手に取った。
「ん〜、どれがいいですかねぇ〜。あ、これとか使ってる人を見たことがありますよぉ。」
嬉々として、ウォータードラゴンが木製の長剣を手にした時だった……。
バキバキッ……。
「はえ?」
柄の部分が握りつぶされて、粉々に砕け散ったのだ。それを見ていたミースの顔から、さぁっと血の気が引いていく。
「壊れちゃいましたぁ……。ん〜、じゃあやっぱり魔法でやります〜。実力を見せなきゃですから、全力でいきますよぉ〜!!」
そう言って無邪気にウォータードラゴンが微笑むと、この空間に所狭しと大量の魔法陣が出現したのだ。
「ひ、ヒイラギしゃん……。」
もうすでに何かを察したらしいミースは、ぷるぷると唇を震わせ、涙目になりながらこちらに助けを求めてくる。
「ベール、そこまでだ。」
「え?もう良いんですかぁ?」
「あぁ。魔法はそのままいつでも撃てる状態で待機しててくれ。」
そしてミースを魔法陣が張り巡らされた中心から救出し、ウォータードラゴンに声をかけた。
「さっきミースに見せようとしてた魔法をそのままやってみてくれるか?」
「いいですよぉ〜。」
パン!!とウォータードラゴンが両手を合わせると、魔法陣から槍や剣の形を模した水が、先ほどミースが立っていた所へと大量に降り注ぎ、闘技場は騒然となってしまった。
「これで良いですかぁ?」
「ご、合格です。ベールさんはもう金級から始めましょう。何なら本当に白金級からでも……。」
話し合いの末、ウォータードラゴン……もといベールはある程度の経験を積んだら白金級への昇格が確約され、無事に金級からのスタートを切ったのだった。
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