宝玉を食べた静葉
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俺は師匠にクラーケンから入手した宝玉を差し出した。
「師匠、良かったらこれを。」
「ん?なんだこれは。」
「これは俺のスキルで作られた……えっと倒した魔物の全てが詰め込まれた宝玉です。」
「ほぅ、これをどうしろというんだ?」
「食べてください。」
「こ、これをか?」
「はい。」
師匠は何度も俺と宝玉とを交互に見つめている。本当に食べられるか疑問なんだろう。
「大丈夫です。ちゃんと食べられますから。」
「こ、これを食べたらどうなるんだ?」
「みんなの言葉が理解できるように…………。」
そう話している最中にも、師匠はガブリと宝玉にかぶりついていた。
「あむ……うむ、味は悪くない。」
そしてあっという間に師匠は宝玉を食べ終えてしまった。
「ふぅ、ごちそうさまでした。……これで本当に言葉が理解できるようになるのか?」
「それを確かめるには、誰かに話しかけてみるのが一番手っ取り早いんじゃないですか?」
「……そうだな。」
そして師匠は、ソファーでくつろぎながら紅茶を飲んでいたドーナに声をかけた。
「ドーナ?」
「ん?シズハ?」
「私の言葉が分かるか?」
「おっ、今はちゃんと聞き取れるねぇ。逆にアタイの言葉はわかるかい?」
「分かる……分かるぞ!!これでやっとマトモに会話が成立する。」
師匠が喜びを噛み締めていると、突然師匠のズボンの内側からイカの触腕のようなものが飛び出してきた。
「し、シズハっ!?し、下からなんか出てるよ!?」
「へ?下から?」
そして師匠が自分の足元へと視線を落とすと……。
「な、何だこれはぁぁぁっ!?イカ!?ま、まさか私はイカ人間になってしまったのか!?」
「師匠、落ち着いてください。」
「お、おお、落ち着いていられるかッ!!」
「多分それは、師匠が新たに取得したスキルなんですよ。だから、自分で無くなれ……って強く思えば無くなると思います。」
「どういう理屈だ!?」
「まぁまぁ、試しにやってみてください。」
「ぬぐぐぐ、な、無くなれ〜!!」
声にまで出して師匠が強く念じると、思った通り飛び出したイカの触腕のようなものは、すぐに師匠の体へと収納されて消えた。
「おっ?ほ、本当に無くなった。」
「はぁ〜、久々に心臓が飛び出るぐらいビックリしたよ。」
師匠とドーナは二人して安堵のため息を吐いていた。
今のうちに師匠のステータスをもう一度確認しておこう。そう思い立って、俺は師匠に向かって鑑定を使った。
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