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Birthday crawler(バースデイ・クロウラー)  作者: sai-b(サイバー)
1/2

00:00 プロローグ

初投稿です。至らない点も多々あると思いますがよろしくお願い致します。短いです。

くるりくるりと軽やかにカーブを描く、柔らかそうな髪。蜂蜜を溶かし混んだかの様に甘くきらめく瞳。シミ一つない透き通った肌に、調和のとれた体躯。全てが完璧と言っても過言ではない容姿のその人は、いつだって夢の中で優しく微笑んでいる。


「あぁ、やっと、やっと君を迎えに行けるよ。」


いつもと同じ様に同じ顔で笑っている。けれど、見たことのない顔に見えるのはどうしてだろうか。いつもと同じ夢、紡がれる違う言葉。そして這うように蠢くそれを認識した瞬間、全身の肌が粟立った。

だめだ。これはだめだ。何がだめなのかは解らない。けれど、起きろ、起きなきゃだめだ。起きろ、起きろ、起きろ!起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ!!


 パァン!


突然の破裂音。そして余韻。驚きに目を見開くと、見慣れた母の姿がある。母は私の様子を横目に、だめ押しとばかりにもう一度大きな拍手を打った。

何が起きているのかよくわからないが、母が私を夢から助け出してくれた事だけはなんとなく理解した。早鐘を打つ胸に手をあて深呼吸を何度か繰り返し、冷静さを取り戻す。落ち着いたところで母がぽつりと囁くような声で呟いた。


「あんた、今日が数えで14の誕生日ね。」


その言葉に壁掛け時計を見ると、針は0時1分を指している。確かに今日は数えで言うならば14歳になる誕生日である。

だからなんだというのだろう。疑問に思いながらも首肯すると、母は真剣な顔で言った。


「よく聞いて。これからするのはとても重要な話よ。」


母曰く、私が見ていた夢のあれは、人ではない者であり、(あやかし)なのか神なのか定かではないが、霊的魅力がある子供の夢の中から干渉し、成人する日に連れていく者だという。

それは夢の中から干渉するため、誕生日である今日一日を通して睡眠をとらないことが、連れ去られないために必要なことらしい。


――ああ、誕生日を這うもの(バースデイクロウラー)、ってやつかな。


母から説明された私は、小さい頃から頭の中に浮かんでいた言葉をぽそりと呟いた。


とにもかくにも、今日一日は眠れないらしい。

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