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キラーハウス狂騒曲  作者: 日暮晶
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序章 黒原虹華の独白


 ――私、黒原虹華は、ライトノベルが好きである。

 とりわけ、『女の子が可愛い』作品に目がない。

 この場合の可愛いというのには、外見だけでなく内面のことも含まれている。


 要するに、『萌える』か否か、ということ。


 無論、萌えるの基準こそ人それぞれだろう。適当なツンデレで萌えられる連中もいれば、紆余曲折の果てにちらりと素を見せてしまうような展開に悶えている私みたいなのもいる。

 ……いや、結局可愛ければいいんだけどね?

 漫画やアニメなどもいくらか嗜むけど、ライトノベルほど傾倒していない。文章の方が、想像力をかきたてられるせいかもしれない。

 しかし、問題なのはここからだ。

 ライトノベルに限らず、アニメや漫画でもそうなのだけれど、登場する女の子たちはとても可愛いのだ。

 しかも数字を意識してなのか作者の趣味なのか知らないが、大体において女子の肌色率高めの状況……いわゆる、サービスシーンというものが存在する。そしてそれは、ライトノベルでは特に顕著だ。少なくとも一冊に一回、多ければ三、四回はそういうのがある。

 エロを前面に押し出している設定でないものですらそうなのだ。

 先に言っておくが、その手のサービスシーンを見て『萌える』とか言ってる輩を見ると、私は股間を蹴り潰したくなる。

 それは萌えてるんじゃねぇ。

 欲情してるって言うんだよ。

 ……ああ、違うよ?

 別に女子の肌を見せてるのが嫌だとか、下品だとか、そんなことを言うつもりは毛頭ない。私は潔癖症ではないのだ。というか、そもそもそんなことを言う奴はライトノベルを読むべきではないだろう。

 私がイラっと来るのは、感想を履き違えている奴に対してのみだ。

 むしろ、私は逆である。

 色気があることと下品なのを履き違えているのもどうかとは思うが、巧い人の描く色気のあるイラストや、可愛さの伝わる文章の破壊力は毎度毎度凄まじい。

 なので、その手の作品はもっと見たい。

 買う。見る。買う。見る。買う見る買う見る買う見る――と。

 ……そのようにして、欲求に突き動かされては消化を繰り返していた結果。

 どうも私は、リアルの女の子にも若干そういう目を向けられるようになってきてしまっているらしい。

 つまり。


 最近、百合に目覚めそうになってる自分が間違いなくいる……。


 いやこれ、馬鹿馬鹿しく聞こえるかもしれないが、ほんとに結構な悩みの種なのだ。

 ふとした時に、風でなびく女子のスカートを目で追っていたり。前屈みになった女の子の胸と服の間に目が行ったり。女の子の友達の、普段見ないような一面で不意に胸が高鳴ったり。もっと酷い面を晒すならば、最近更衣室での着替えも尋常じゃないレベルでドキドキする。

 ライトノベルにおいては、女子更衣室がある種の聖域として描かれることが多いからなのかもしれないが、故に私はあの場所で着替えをすることに妙な背徳感を覚えるのである。

 ……いや、実際はイラストで描かれているような、全員同時に上も下も下着姿なんてことはさすがに無いのだけれど。でも逆に、脱ぎかけの恰好の色気ったらない。

 それを目の前で堂々と見ることのできる、男子に対する優越感……ふっ。


 ……私、何言ってるんだろう……。

 

 ――こんな風に、ふと素に戻っては軽く死にたくなる私ではあるけれど。

 とある同人サークル、『キラーハウス』――そこに所属する者たちとの出会いが、そしてとあるメンバーへの恋が、私を大いに狂わせることになる。

 ……狂うものが、運命とかではないところが、ミソである。

 もう一度はっきりと言っておこう。

 狂うのは、私である。

 



この作品は、基本的に虹華の一人称で進みます。

今日は第4話まで一挙掲載、5話以降は毎日20時に更新する形にしようかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

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