表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/83

底辺冒険者のロマン溢れるパーティー改革③

「それで、最後の1つは冗談として……他の条件に合致しそうな冒険者の方をどうやって探すんですか?」


 ヒンヤリと石の冷たさが伝うギルドハウス内をカツカツと歩きながら、アリシアが聞いてくる。

 あの後、俺の出した3つの条件の内、③だけが削除された。

 つまりは、感性がマトモでなるべく強い仲間を探そう! ということになったわけだ。


「お? アリシアは募集掲示板を見るのは初めてか? まあ、新人冒険者だし知らないのも無理はないか」


 俺はアリシアたちを引き連れて、クエスト掲示板に背を向ける。


「あの壁に設置されているのが募集掲示板だ。あそこから新たなメンバーを探す」


 アリシアにもわかるように指し示す。

 左側の壁には、クエスト掲示板と同様に大きな掲示板が立てかけられていた。


 ギルドハウスを真ん中で区切ると、右側がクエストの受注や依頼を行うエリア、左側が冒険者間での様々な契約を交わすエリアとなっている。

 ちなみに、以前アリシアを騙し……もとい説得して手に入れた契約書の発注・受付もこの左側のエリアで行わている。


「なるほど! 今回はパーティーメンバーに関する事ですから、左側の掲示板を見に行くんですね!」


「そういうことだ」


 募集掲示板まで移動すると、クエスト掲示板に負けず劣らずびっしりと貼り紙で埋まっていた。

 とりあえず目についた1枚を読もうと手を伸ばすが、


「ねえねえユーヤ」


 袖を引っ張ってきたエルに引き戻された。


「なんだエル?」


「掲示板から探すよりもあの子に話しかけたほうが手っ取り早いと思うよ!」


 そう言いながらエルが掲示板の端の方を指差す。

 そこには、仁王立ちしながら堂々と腕を組む1人の少女の姿があった。


「あ〜……悪いことは言わん。あいつはやめておけ」


「なんで? だってほら」


 俺の反応を不思議がりながら、エルが再度少女を指差す。


 エルの言いたいことはわかる。


 なんせ、その少女の首元からは紐で繋がれた看板がぶら下がっており、その真ん中に大きな文字で『パーティーメンバー募集中』と書かれているのだから。

 これほどまでにわかりやすいアピールの仕方はない。話しかけてみるのも1つの手だろう。

 ……あいつでさえなければ。


「そう言えば、去年のこの時期からほぼ毎日のようにあそこに佇んでいますね、あの子」


 顎に手をやりながら、ランも不思議そうに首を傾げる。


「もはやギルドハウス名物になりつつありますよ。小さな妖精がギルドハウスに住み着いている……とか」


 確かに、俺たちが遠目から彼女を覗いていることを差し引いても、その体の小ささが目を引く。

 アリシアも身長は低めだが、さらにそこから頭半個分くらい小さい。

 小さい体躯に長く繊細な桃色の髪ーーその可憐な姿が妖精に見立てられてもおかしくはないだろう。

 ……あいつでさえなければ!


「どうしてあの人はずっとああやって立っているんですか? あ、いや、その……パーティーメンバーを募集しているのはわかっているのですが……」


 俺の視線に気づいたアリシアが、口ごもりながら聞いてくる。

 アリシアの言わんとしていることはおそらく……『なぜ去年からずっとパーティーメンバーを募集し続けているのか』ということだろう。

 エルやランもそのことを疑問に思っているようだが、俺はその理由をすでに知っている。


「あぁ、それはな……」


 俺が彼女について話そうと口を開いたその時、エルが「よし!」と声を上げる。


「わたし、前からあの子のことすごい気になってたんだ! だってクエスト受けに来るといっつも同じところにいるんだもん。ちょっと行ってくる!」


 そう言って、マントをバサバサとなびかせながら全速力で少女もとへ駆け寄っていった。


「あ! おいこら勝手に行くな!」


 俺が止めようとしたときにはエルはもう既に彼女に話しかけていた。


「ったく、あのバカ。勝手に行動しやがって」


「でもエルの言ったとおり、一度話しかけてみたほうがいいのでは? もしかしたらメンバー募集の問題もすんなり解決するかも知れませんよ?」


 エルと少女が話している様子を微笑ましく見つめているラン。


「お前はあいつのことを何も知らないからそんな呑気なことが言えるんだ」


「……あいつ? ユーヤはあの少女のことを何か知っているのですか?」


「知っているも何も、あいつは俺の幼馴染であり、数少ない友人であり、そして――一生涯関わりたくない人間だ」


「え?」


 俺が遠い目を彼女に向けると――そこには異様でいて、しかし俺からしたら予想通りとも言える光景が広がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ