7.「her side.」
私の肩書き。
シンガーソングライター。
Rainy daysのボーカリスト。
作詞家。
名前は雨水 凉。
FPSプレイヤー(仮)。
ざっくりと自己紹介をするならば、こんなものだと思う。もしも水樹が自己紹介をするならばもっと面倒なことを述べてくると思う。なんのプレゼンの枕の部分だろうかと思う程度にはきちっと長ったらしい自己紹介をするだろう。でも、私はそういうことが苦手で、つまりはそういうことなのだ。
この前ペンギンから久し振りに、半ば無理矢理に仕事を頼まれた。私が今回の仕事を受けた理由は単にペンギンが可哀そうだからということじゃなく、ずっと、ずっと思っていたことを実行するため。そう、それは新たな世界戦を作り平行世界と・・・なんてことはない。正直に言うとただの私の日常のきまぐれのようなもの。きまぐれであるが故に、私にとってそれなしでは生きていけないということでもある。
あーもう、寝れない。早く寝て、明日に備えたいのになかなか寝れない。変に目が覚めている。
今回の題材であり依頼内容は、「恋に落ちる瞬間」というものだ。この前、水樹にプロットを見せてもらったけれど、あまり作品の内容自体に興味が湧かない。
ただ、私は恋を題材にした楽曲を作った事がない。それらしい表現はしたことがあると思うが、決定的に愛だの恋だのと書いたことがない。それだけでも今回ペンギンに恩を売り、水樹におんぶにだっこさせてもらう価値がある。
恋の曲を書き終えたとき、私はどんな気持ちなんだろう。音が溢れて寝れない。言葉を綴りたくて寝れない。
いや、もう寝ない。