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rainy days  作者: haruki
episode1 - Cmaj7 -
4/18

3.5「雨音-amane-」

=家=


19:58。


 バタンとドアを閉めた瞬間聞こえる雨の音。僕らが家に着いた瞬間に降り始めた。雨が降るタイミングも雨音も、さっきまでの空間から現実へ引き戻されていく感覚も、全部が多分丁度いい。丁度いい言葉がなくて、彼女みたいに表現出来ないけれど、だからこそ『丁度いい』。

「ごめん、」

「いいよ、話しかけないから。こういうの久しぶりでしょ?」

「ありがと。」

 僕はPCの電源を入れてアコギを手に取る。

彼女はベッドの上にコロンと寝転がって、ぼーっと雨を眺めてる。

 洗濯物干さなくて良かったな、なんて日常を思ったら、それはそれで胸がほっこりしてくる。

 僕はあまり曲を作らない。作れない訳じゃない。彼女の曲に合わせて、アレンジの過程でストリングスだったり、ギターソロなんかを入れたりする。雰囲気を掴むのは比較的得意な方だと思う。

 僕は曖昧で、最初から最後まで通して聴いた時に、胸に残らないただのいい曲を書いてしまう。もしかしたら、今回もそうなのかもしれない。それでも、そういうことを生業としている僕は止められない。


 水槽

 雨の音

 煙草

 珈琲

 窓辺

 彼女の後ろ姿

 黒いカーテン


「「ねぇ、」」

 声が重なる。こういう時は彼女に譲ることにしている。さらに、こういう時の彼女の言葉は突き刺さる。

「雨の音、入れたいね、その旋律。」

「そうだね。」

 早く音を拾わないと。雨がやむ前に。


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