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傷つけた人

「そんなこと言ったら俺は傷害事件ですよ!直接殴ってますもん。」

行方さんが話し始める。


「俺は一緒にいる方はなんとなくわかってると思うんですけど、双極性障害なんです。

俺の場合頭悪くて親が進学には反対してたんすけど、ぜってー行きたい大学があって。

だからマジで勉強して現役合格して、まーそこそこ遊んで就職しました。

社会に出るといろんな人間がいるんですよね。

同期とか東大卒いたし、むしろ何でここ来た?みたいな。

でもそれでも負けたくなかったんで。

先輩と絡むようにして仕事教えてもらって同期で一番できるヤツになるつもりでした。


後輩が入ってくる頃には同期内でも一位二位くらい仕事ができましたね。

後輩からも一目置かれて頼れる先輩目指したかった。

だから飲みに誘ったり話聞いたりしてたんすけど、なんか……バランスが取れなくなってきて。


夜通し飲んでも次の日遊びに行けるような時もあれば、朝起きれない・昼眠い・夜眠れないのが続いたり。

そのうち仕事でミスが続いて同期の中でもできない方になってきて、仕事中イライラしたり営業先ですげー大きい事言っちゃったり、いろんな人に迷惑かけました。


そんな時ライバルの同期が言ったんですよ。

『最近体調悪いんじゃないのか?』って。


俺を思って言ってくれたはずなのに無性に腹が立って、気付いたらぶん殴ってました。

それ以降は精神科かかって躁病って言われたり、うつって言われたりなんだかんだでここに来ちゃいました。」


行方さんが笑う。


「それこそ傷害事件じゃないじゃないですか」

「周りが止めてくれたんで未遂で終わっただけっすね~。


でも仕事ができて仲間思いの行方はもうあの会社にはいないんで。


ある意味自傷行為でしたね。」


「殺人に、傷害か……。」

今まで静かに話を聞いていた道免さんがつぶやく。



「調子が良いので忘れかけていましたが、やっぱりここは精神科なんですね。」



「俺は卓球しに来てるけどねー。」

行方さんは今、そう状態なのだろう。

しきりにスマートフォンを気にしては、誰かからの連絡を待っているように見えた。





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