表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/123

07話  戦闘が終わり  ??視点

 その頃、辺り一面に舞い上がる砂煙の中に二つの動く黒い影があった。その影は人の姿をしているが、どちらも全身を鎧のようなもので覆われていて、一体は二丁の拳銃を、もう一体はライフルを携えていた。


 それらの進行方向に人二人分ほどの大きさの石像が無造作に置かれていた。そして、その近くには三人の少年少女が倒れていた。


 二体の鎧は彼らを介抱しようとはせず、石像に近寄ってライフルを持った鎧が石像を触る。何も起こる事がなく、数分が経過した時、ようやく拳銃を持っている鎧が倒れている三人に近づいた。倒れこんでいる三人に手を置き、しばらくしてからもう一人の鎧の方を向いて首を横に振る。


 この行動からこの二体は状況を理解したのか、三人を担ぐ。同時に舞っていた砂煙が消える。

 彼らの視界に映ったのは緑色の服を着た複数の男たちだった。

 一人が驚いた声を上げ、それを合図に隊員たちは二体の存在を確認するや否や銃をその二体に向け、警戒態勢に入る。


「―――!」


 何か言葉を発しているようだったが、二体には理解できなかった。だが、自分たちを快く思っていないという事だけは状況を見て理解できた。

 二体は担いでいた三人を緑服の方へ放り投げる。すぐに何人かが彼らに駆け寄って脈拍を確認し、生命に別状がない事を判断してすぐに三人を連れていく。


 彼らは自分たちがこの三人を助けたと思ったのだろうが、それでも一度生まれてしまった敵意は収まる事はなかった。


 二体はただ立っているだけで何も行動を起こさない。緑服の人間は自分たちが持っている武器よりも一回り小さい銃を向ける。奥にいる人間が指揮官なのだろうか、次々と他の緑服の人間に何かを伝えている。そして、自分たちに向けて何か言葉を発しているが、二体は沈黙を貫く。


 最初は数人だった緑服の人間は砂煙が消えた頃には十数人に増え、二体の周囲を囲んでいる。こちらが不審な動きをすれば全方向から銃弾が飛んでくるのだろう。


 ライフルを持った鎧が右手を顔の前に移動させる。銃を構える音が次々と耳に入ってくるが、気にするような動作も見せずに、二、三回ほど拳を握り、解くといった作業を繰り返した。

 この一連の行動の意味をほとんどの緑服の人間たちに伝わっていないのか、何の反応も示さなかった。


 緑服の一人が指揮官らしき男の傍に近づき、何か耳打ちをした。その後、男がこちらに歩みを進める。そして、言葉を発する。

 ライフルを持った鎧は先ほど取った行動をもう一度行った。


 男は鎧の行動の意味を理解したのか、男は周りの緑服の方へ振り返り、何かを命じる。

 多くが納得していないような表情をしていたが、全員が大人しく、銃を下げ、後ろへ後退していく。


 何人かが複数のパイプを纏められた束を三本持ってきて、一本は男の後ろに、残りの二本は自分と隣にいる拳銃を持った鎧の前に持ってくる。その束を横に引っ張ると椅子の形に一瞬で変形した。


 男はそのまま椅子に座り、自分たちの前に置かれている椅子を指差す。男が座るように促したのだと解釈し、静かに椅子に座った。拳銃を持った鎧は変形した椅子を玩具のように閉じてはまた開いてを繰り返した。


 そんな仲間を放っておいてライフルを持った鎧は先ほどと同じように手を顔の前に持っていき、開いて閉じてという動作を繰り返す。


「――――――――――――」


 男は頷き、何か喋る。だが、ライフルを持った鎧は今やっている動作を止める事はなく、また男の方も気にせずに、喋り続けた。

 斜め上にある太陽が徐々に頭上の方へ昇っていき、会話のない話し合いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ