暑い夏の日
壱話
灼熱の太陽が憎らしい程に雲ひとつない青空から降り注ぎ、その暑さに負けじと生きようとする蝉の鳴き声があたりに響きわたる。
衣替えを終えたばかりのサラリーマンの男性や学生らが、汗を垂らしながら歩いている。当たり付きのアイスを食べていた子供が、「当たった!!」とはしゃぎ来た道を急いで戻っていった。そんな、いつもより早く来た夏の季節の事だった。
冷房の効いた電車の端の席に少女が一人、席に寄りかかりながらぼーと窓の外を見ていた。少女は白かった。靴もワンピースも、リュックサックの鞄、帽子、身に付けるもの全てが白かった。サラリと流れる胸まである黒髪と瞳だけが浮き彫りの様に目立つも、少女は周りを気にすることもなく、ただ、外を見ていた。
ただ見ているだけの少女を気にする者もなく、手元のスマホを弄る者、うつらうつらと眠る者、今日あった事を面白おかしく笑う学生服を来た男子生徒達。そんなどこにでもある、電車の中で少女はただ、窓の外を見ていた。
乗車する人々と下車する人々が入り混じる中でも、少女はずっとそのままだった。
14駅名を過ぎ、19つ目のトンネルに差し掛かった時、ピクリとも動かなかった少女がここで始めて目を閉じた。
電車のスピードと空気のぶつかるゴゥゴゥっとする音に耳を澄ます。この時何故か、ここ最近感じたことのなかった安心感が心を包み込んだ。そして少女は、ふぅーーーーーーーーーーと深い息を吐き出し、背もたれに寄りかかりながら手に持っていたリュックサックを抱え込み無意識に張っていた肩の力を抜き意識を落としていった。
少女が眠る電車の中には、駅員も含め誰も、誰一人も乗ってはいなかった。電車の通ったトンネルと線路は、光輝く粒子となり消えていく。後に残るのは生い茂る木々と草花だけだった。
小説家になろうを始めて投稿します。
このお話の内容の主軸?は、私が幼い時にみた忘れられない夢のお話です。それを構造して書きました。
短編ずつの投稿となりそうですが、よかったら見ていって下さい。誤字脱字があれば教えて頂きたく存じます。まだまだ、不慣れな点がございますが、よろしくお願いします。m(_ _)m