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やっぱりもう少し速いペースで投稿した方が良いですかね....


時間は進んで今現在、セドリック宅の一室。そこには3つの人影。

「....それで、だ」

その中の一人、大和勇希やまとゆうきは普通ならここにいる筈がない、1人の少女に話しかける。

「はい」

少女の名はナナ=ウルザード。彼女はフードを深く被っているせいで素顔は見えない。

「お前、今なんつった......?」

「....えーっと....」

「なんつったって聞いてんだよ!!」

「うひゃあっ!?」

ナナは手で耳のあたりを抑えながら苦痛の声を漏らす。

「そこまで大きな声を出さなくてもいいじゃないですか......」

「いいか!あれを見ろ!」

大和は部屋の隅を指さす。そこには壁と向き合って何かブツブツと何か言っているが大和との距離が離れ過ぎているため聞こえない。

「色々あった、今彼はお金もってない、言いたいことはわかるよな? それを知らずしてか『ここで暫くお世話になる』なんてぬけしゃあしゃあと......」

「......あー......すいません......」

「分かったなら帰った帰った」

そう言ってしっしっと追い返すように手を振る。

けれど、彼女は「えっ」と心底不思議そうに声を漏らす。

「えっ?」

思わずアホみたいな声が出る大和。

(え?何で?みたいな顔するから一瞬自分を疑っちゃったじゃねぇか....)

彼女は大和が調理に使っているフライパンを指差す。

「それって私の為に作ってくれてるんじゃないんですか?」

「なわけねぇだろ」

その言葉を即座に否定して、塩みたいな味がする粉と胡椒のような香りがする実を煎じたものをフライパンの中に突っ込む。

「えぇぇ....」

ちぇっと唇をとがらせた後、何か思いついたのかスススと懐に忍び寄り、祈るように手を組んで大和を見上げた。

「お・ね・が・い」

どうやらおねだりのようだが、大和は料理に集中しているため効果はあまりない。

「まさかフードを被っている状態で上目遣いしてる訳じゃないよな?」

「...あっ」

どうやら本当にしていたらしく、しまったぁ、と頭を抱える。

「分かったからテーブルに座ってろ。ここにいると油が飛ぶぞ」

「あ、はい....」

そしてナナはそそくさと戻って行った。

「セドリックも!もうすぐ出来るから座ってろ!!」

こちらに近づいてくれたおかげでセドリックが何を言っているかを知ることができた。

「....月末ヤバイ月末ヤバイ月末ヤバイ月末ヤバイ月末ヤバイ月末ヤバイ月末ヤバイ」

「うひィ!?」

セドリックの鬼気迫る表情にナナは仰け反る。対してセドリック虚ろな目で椅子に座る。流石に申し訳ないのか、ナナはよそよそしく口を開く。

「......あの」

「月末ゥ....」

「ヒッ」

最早会話ですらない。見てられないので急いで盛り付け、セドリックとナナの席に置いた。料理のは 大和が(セドリックの金で) 買い物している途中で小麦らしきもので作ったらしい麺状のもので作った塩焼きそば(?)である。

だがやはりこの世界の流通は少し変わっていて、大和に渡した大量のお金を全て使いきったのがセドリックの精神崩壊の大きな理由である。

「ほれ」

「あ、ありがとうございます....」

おそるおそるぱくっと一口。「むっ!これは!」と言った後、どんどん塩焼きそばをかっこむ。

「ゆっくり食べろ。喉に詰まるぞ」

案の定詰まったようで、 苦しそうに 胸をドンドンと叩く。あらかじめ用意していた水を飲ます。

「た、助かりました....」

ぐでっとテーブルに倒れ込んでいるナナ。

「お前、もしかしてアホの子か?」

そう言うと顔を上げて「そんなことありません!」と噛み付いてくるナナ。

「だってほら」

と言って指さした方向ではセドリックが胸を押さえて何かを訴えていた。

「セドリック、てめぇもかッ!!」

大和はセドリックの分は予想しておらず棚から適当なコップを掴み、すぐさまキッチンへ向かう。







「死ぬかと思ったぁ....」

テーブルに倒れ込むセドリックと大和。

「お疲れ様です」

いつの間にか塩焼きそばを平らげており、大和に水の入ったコップを渡す。それを大和はぐいっと飲み干す。

「おお~、いい飲みっぷり〜」

パチパチと手を叩くナナ。その姿を眺めていたセドリックは大和に耳打ちをする。 どうやら食事によって意識が回復したようだ。

「この子どうするんだ?うちは無理だぞ......?」

そう言われて、大和も少し考える。

(そうだな......俺も昼飯食ってねぇし......。飯が食えて、ナナ《こいつ》を泊めれそうなところは......あった!!)

そこで大和は閃いたかのように天井を見やる。

「安心しろ、宛はある」

親指を突き立てると、セドリックの顔色が明るくなる。

「まじか!?」

セドリックの声が大きくなる。大和はニヤリと笑う。

「知り合いの住所を教えてもらった。そこに住めるかどうか頼んでみる」

「分かった!俺も酒場で誰か都合のいい人を探してみる」

そう言ってセドリックは家から飛び出していった。

「え?ちょ、何2人だけで勝手に盛り上がってるんですか!?私は!?」

その叫びで大和は本来の目的であるナナが思い出す。

「ああ、お前は俺と一緒に来い」

「え?あ、はい」






城下町のある民家のドアの前。

ノックをして2分ほどしてからドアが開いて、キンドが出てきた。

「おお、よく来たなぁ!....むぅ....?」

大和を見てすぐ明るい顔を見せるが、傍にいるナナに気づいていぶしかしげな視線を送る。

「こいつの宿を探しているんだが、泊めても大丈夫か?」

「んー...いや、別に構わんがなぁ〜」

キンドはそう言いながら大和とナナを交互に目配せして、ニヤニヤと笑う。

「....何だよ?」

彼は聞かれたい気で満々だが、大和にとっては不快なので、ぶっきらぼうに聞いておく。

そして。

大和はこの顔に見覚えがある。毎年恒例の正月に会う叔父の「好きな人出来たか~?」のときの若者を冷やかす顔によく似ている。

「お嬢ちゃんはお前と一緒に居たいんじゃないかなぁ?」

「「....はっ!?」」

「分かる分かる。昔からそういう奴らを見てきたし、実際に経験した事もあるからなぁ〜」

うんうん、と頷くキンド。その顔は、昔の事を思い出しているのかとても安らかな表情をしている。

「いや、ちょっと待て」

納得のいかない大和がキンドに噛み付く。

「会って一日も経っていないのに一緒に居たいだと? 何処の痛い女だ?」

「そうですよ!ちょっとうまいこと言ったからって得意げな顔しないでください!」

「え?....あ、俺か!?」

大和とナナのやりとりを観ていたキンドは笑いだした。

「お前ら息ぴったりじゃねぇか。まるで夫婦漫才だな!」

その言葉にナナは体のバランスを崩す。

「ふ、夫婦....」

その時、筋肉質の大きな身体の向こうから女性らしき声が聞こえた。

「こら、キンちゃん!お客様をあまりいじめない!」

ひょっこりと現れたのは茶髪をショートボブにしたとても可愛らしい女性。

「どうも、キンちゃんの妻のシュレーンです!いつも夫がお世話になってます!」

シュレーンの登場に場が固まるが最初に大和からときは動き出していった。

大和は右手で自分の顔を覆い、歯を食いしばって叫ぶ。

「....oh Jesus(おぉ神よ)!!」

「急にどうしたんですか!?」

次に動き出したのはナナ。大和の行動にオロオロとしている。

「何故こんな奴に美人妻がいるんだ.... ?俺には出会いすらなかったのに....」

「こんな奴じゃありません!キンちゃんです!」

大和に夫『こんな奴』扱いされて怒るシュレーン。それに感動するキンド。

「シュレ....」

「キンちゃん....」

互いは見つめ合い、そして動かなくなった。

「くそったれぇ!!」

大和は全力疾走で目の前の現実《キンド達》から逃げ出す。

「ま、待って下さい!!」

はぐれまいと、急いで追いつこうとするナナ。辺りはもう夕方だった。




今回は短いし、話を途中でぶった切ってしまいました....

許してください。

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