ⅩⅡ
大和はドアに手を掛け、だがそこで手が止まってしまう。
「どうするか....」
(多分外に出たらあいついるんだろうなぁ....まぁ、カンだけど)
だが、このままいると、ヘリィにぶっ殺される羽目になる。
「ならこっちだよなぁ!!」
ドアを開けると、大和の予想通りカインが目の前で仁王立ちしていた。
「....お待ちしておりました。ヤマト殿」
大和はさっきまで考えていた文章をゆっくりと声に出して呼んでいく。
「あぁ、返事の事だが───」
「その前に」
だが、話の途中でカインに遮られる。
「本当に我が主に相応しいかどうか....確かめさせて頂く!」
そう言って双剣を抜き、大和に斬りかかるカイン。
「うおぉっ!?身勝手すぎるぞおい!」
辛うじてそれを躱していく大和。
だが、段々と追い詰められ遂には木に背中がぶつかった。
「くそっ!」
「挟斬!!」
腕をクロスさせ、右手にある剣を左から右へ、左手にある剣を右から左へ。まるで鋏を閉じるような動きで大和の退路を絶たれる。
だが、多少無理な斬り方なので、さっきまでより剣速がない。
「くそったれぇ!!」
しゃがみこんでからそのまま頭突きへと派生する。
「ぐふっ!!」
その時、能力を使用していたのでそのまま吹っ飛んでいくカイン。
池へと吹っ飛んでいくカインに向けて叫ぶ。
「てめぇなんかお断りだかんなー!!!」
ざっぱーんという微かな音が聞こえ、やがて静かになる。
大和はその方角を一瞥し、そのまま玄関のドアに手を掛ける。
開けると、まだ2人の喧嘩は終わってなかった。
「な、中々やるではないか....」
「そ、そっちこそ....」
ボロボロになりながらも笑い合う2人。
謎の友情がそこにはあった。
「....なんか入りづらいな....」
「ユウキさんユウキさん」
「?」
ナナに後ろから声をかけられ、振り向く大和。
「どっか遊びに行きませんか?」
そう言って袖を引っ張るナナ。
「え、いや、でもあの二人の怪我....」
「ユウキさん達が倒れた時、私も多少お手伝いはしましたけど大抵はセドリックさんが回復魔法を使って治療してたんですよ?」
「え、そうなん....?」
もう一度2人の方を見ると、セドリックの手から柔らかい光があふれて、みるみるうちに2人の傷が治っていく。
「さぁ、行きましょう!」
「うおぉう!?」
ナナに引っ張られるがままに外へ出る大和であった。