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さぁ人形劇のはじまりだ!-その3

前回までのあらすじ




「・・・っ!まだかっ!」


叫ぶ劉備蟹徳に襲い掛かる魏兵。




「あと少し・・・あと少しです!」




――東南の風より風が吹きます




「今宵は無風。この火計成功なり!」




「いいえ。この戦、私たちの勝ちです」


片手に扇子を持った諸葛住人が小高い丘より姿を表した。




刹那、一陣の強風が吹いたという――



嘘です!本編とは関係有りません(笑

「・・・俺の部屋汚いから、入るときはゆっくりお願いします」


何言ってんだろ俺。




恥ずかしげに頷いた真弓は住人の腕をしっかりと抱いた。




「・・・ただいま」


返事はない。よし、誰も居ない。




住人の部屋は二階にあり、玄関付近になる合計30段の階段を上がると直ぐ左に位置している。


「ここ、俺の部屋。散らかってるからちょっと待ってて」




「ぁ・・・大丈夫ですよ気にしません」


「けど本当に汚いから・・・」


「いつもの住人さんの部屋で良いですよ」


笑う顔が可愛かった。俺ってこの顔に弱いんだな。




「じゃ、中で待ってて。俺、ちょっと下行って来るから」


真弓はコクッっと頷いた。




こういうときどうしたらいいか解らないけど、常識的にお茶を用意するだろう。


ちょいと冷蔵庫でも漁ってみるか。




「おかえり〜」


「ぅおっ!」


キッチンの奥のほうから声が聞こえた。




「亜居、居るなら居るって言えよ!」


国崎亜居くにさき あい。住人の2つ違いの妹で今は中学校3年生。




「・・・で、何してるんだよ?」


こちらにお尻を向けて、奥の方でなにやらゴソゴソとしているのが見えた。




「ん〜ちょっとねぇ〜」




何を探すのは勝手にしてもいいが、それにしても・・・


「毎度なんだが、服ぐらい着ろよ。お前帰ってきてから何時間もしてないだろ」




そう妹の亜居は普段家では服を着ない、といっても下着は着けるくらいで家中を動き回る。




「だってこの方が楽なんだもん〜」


「楽だとしてもさ・・・」


今、真弓ちゃんいるのにこの格好でうろつかれても。




「あ!あったぁ〜」


取り出しますは、虹色に光る孫の手。


孫の手ってキッチンの奥から見つかるもんなんだな・・・俺ビックリしちゃったよ。




「良かったですねー。んじゃお茶貰っていくよ」


冷蔵庫から取り出しますはお茶【貢献美茶】だ。我が家ではよく食すお茶である。




「あ。あと、今日の夕飯は勝手に食うから一人で食っててくれ」


「何かするの〜?」


亜居が不思議そうにコッチを見てきた。




「ふっ・・・オコチャマな亜居には教えません」


これといって理由が思いつかなかった。ま、これで大丈夫だろ。




「ぶ〜!亜居はもう子供じゃ有りません〜」


「・・・どこが」


ジタバタする亜居に、思わず真顔で応えてしまった。




「そうねぇ〜・・・」


亜居がキョロキョロと辺りを見てから手を叩いた。




「例えばぁこれとか〜?」


いきなり迫られて、胸の谷間を強調させたポーズを取られた。


目測だがCカップくらいあるんだろうか。うん、多分そんな気がする。


これが真弓ちゃんなら良かったのだが、実の妹なると逆にムカついてくる。まぁ友達の蟹谷は喜ぶんだろうけど・・・あいつロリコンだからなぁ。


あ、俺も真弓ちゃん好きだからロリコンなんだろうか。なんか【類は友を呼ぶ】って感じ。




「・・・ちょ、ちょっと黙らないでよ〜兄貴〜」


変なポーズを取った直後に俺が黙ったのが結構効いたらしい。


赤らんだ顔で亜居は牛乳を一気飲みした。




「わりぃ他の事考えてた。とりあえず、まだまだ子供だな」


そういうと、住人は逃げるように自分の部屋に向かった。


閉まるドアの音の後には亜居の叫ぶ声が聞こえたが、まぁいつもの事という事で・・・。




やばっ。結構時間かけちゃったかな。


「ごめんください」


自分の部屋だっつーの。




「どうぞ」


真弓ちゃん、返事するのかよ。




「ごめん、待った?お茶がなかなか見付からなくって」


「別に気を使わなくても良かったのに」


大丈夫大丈夫、と住人はコップにお茶を注いだ。




「あはは・・・結構荒れてるでしょ俺の部屋」


本棚には書物が並べられているが、それに入りきらなかった本などはその辺に乱雑に置かれていた。他にも、趣味の【ミニ観葉植物】、色々なデータが入ってるパソコンやデジカメで撮影した風景写真など、辺り狭しと置かれている。




「写真とかお好きなんですか?」


それから色々話をした。家族の話とか最近あった面白い話しとか、ときどき笑ったり驚いたりとあっという間に時間が過ぎた。




「・・・なんか暑くないれすか?」


真弓ちゃん、なんか顔が赤いなぁ。




「そういえば暑いかも。真弓ちゃん大丈夫?顔が赤いよ」


「大丈夫れすよ〜」


ヘラヘラと笑う真弓。・・・なんかオカシくねぇ?




「ちょっとごめん」


立とうとしたら脚に力が入らず思わずよろけてしまった。


そういやヤケに周りがぼやけるなぁ。




「住人さんこそ大丈夫ぅ?」


「OKOK。ちょっと窓開けるね」




「ぁ・・・!窓はだいじょ・・・」


ドアに手をかけようと手を伸ばした瞬間、真弓が住人に倒れこんだ。




「ぅあっ!」


二人はそのままベッドの上に倒れてしまった。




「ごめんなさぁい。大丈夫ですか」


「俺はだいじょう〜・・・」


ベットに仰向けになっている住人に、覆いかぶさるように真弓が四つんばいの格好で目をパチクリさせていた。よく見たら、真弓がほのかに化粧しているのが解った。




「大丈夫さ。(うゎ、近い)」


「真弓、さっきからオカシイのぉ。世界がグ〜ルグルしてる」




???


「そーいえば俺もオカシイ・・・」


ふと見たペットボトルには【壮美献酒】と書かれていた。


そのペットボトルは最初に俺が持ってきたお茶だった。




――ぁ


嫌な予感。


さっきから変わらない体勢のまま、真弓が首をかしげて反応した。




「ごめん・・・」


「ん?」




「俺、お茶と間違えてお酒もって来ちゃった」


「え〜?!私お酒飲んじゃったんですか?」




「あははは、ごめん・・・」


頭に手を当てて苦笑いする俺。


それを見た真弓がつられる様に笑う。




「住人さんオカシイれすよ〜お茶とお酒って・・・ふふふ」


「だからゴメンだって」


和やかな雰囲気。しばらくすると二人は笑い疲れたのか少し黙ってしまった。




「ふ〜。あ、もうこんな時間、どうす・・・」


うぉ!




「真弓、暑いれす〜」


そう言った真弓は、制服のブラウスの胸元を広げパタパタと扇いでいた。


ソコから見える胸元は住人には眩しく見えた。




「(あ〜もっと扇いで〜)」


そんな目線を感じたのか真弓は後を向いてしまった。




「・・・住人さんのエッチ」


「あはは、ごめん。つい・・・ね」


しまった。つい見惚れてしまったよ。




照れ隠しで頭を掻いている住人。


しばらくの沈黙が続いた。


沈黙が耐えられなくなった住人は、何処を見るでもなく窓を覗いた。


そこには真弓の顔が淡く映っていた。


ただ何となく手を伸ばしてみたが、触れるのはガラスでやはり温もりは無かった。


その冷たさが伝わると住人は急に心細くなった。


俺、やってんだろ。


先程からの自分じゃない自分が住人を掻き乱す。


このままで良いのだろうか?


そう思うと窓にはこちらを見ている真弓が映った。


住人が振り向くと消え入りそうな声で真弓は言った。



「ぁ・・・その・・・住人さんも・・・」


「ん?」


全然聞き取れなかった。


う〜酔いもだいぶ冷めてきた筈なんだが、どうも調子が狂う。




「・・・住人さんも興味ありますか」


そういうと真弓はスッと住人に近づいた。今にも吐息が感じられそうな距離。




「な、なににかな?」


やべぇよ。やべぇよ。冷静になれ!自分。




「私、まだ子供でしょうか・・・」


そういうと真弓は身体を近づけ、グッと顔を近づけ、上目遣いで俺の顔を覗き込んだ。


思わず喉を鳴らす住人。更には襟元から胸元も見え、谷間が露わになっている。住人の心は高まる一方だ。




「そ、そんな事はないけど」


声が上ずる。どうしよう・・・これ以上は俺が俺で居る保証はないぞ。


無言のまま真弓が住人に抱きつく。住人と真弓はそのまま床に倒れた。


初日でコレはダメだ!


おぃ、いつもの俺よ、早く出てきてくれー!



「私、最初が住人さんで嬉しいです」


そういうと真弓は住人にそっと口付けをした。





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