約束の薔薇までに(二百文字小説)
約束の薔薇が香ったら
――まさか本当に思い通りになるなんて、思わなかったわ
母はそう言った。
いそがなくては。 あの、薔薇までに。
やわらかい 憧れを だきしめて。
はじまる。
――まさか本当に思い通りになるなんて、思わなかったわ
貴女の好きな薔薇をすべて咲かせたら、どうか私のものになってくれ
そう言った、あなたのお父様の。
母はそう言って、薔薇のように、笑んだ。
約束の薔薇が 香ったら。
出逢いは はじまる。
ここから はなやぐ。