6.崩れる壁
「あてて…」
私が一番上にいて、一番最初に起きた。
周りは明るく、そして見知らぬ人ばかりだった。
文句を言いながら立ち上がると、ふわふわ浮かんでいる妖精に聞かれた。
「えっと、どなたでしょうか」
「ああ、ごめんなさい。私は早田桜。この塔では、どうやら第3階層って言われているところから来たわ。それで、私の横でこけているのが、下から順に鈴木珠子、伊予葎、生井幺子。よろしく」
私は立ち上がって、それぞれを紹介した。
手を振ってくれて、挨拶をしたのだろう。
私が他の人を立たせ終わると、誰かが現れた。
「だれだろ。知ってる?」
私が後ろを振り返ると、誰も首を縦に振らなかった。
「先輩はどこ行ったんだろ」
「俺ならここだ」
先輩の声が聞こえてきた。
私が周りを見回すと、透明な壁の向こうに、先輩が立っていた。
「先輩、なんでそっち側にいるんですか」
「言ったでしょ、あなた達は人柱、そちらにいるべき存在だって」
先輩の横には、ローエリが立っている。
「なんで先輩の横に立ってるのよ」
「あら、妬いちゃった?」
クスリと笑いながら、斜に構えて私を見た。
「そ、そんなわけないでしょ!」
「じゃあ、私が横にいてもいいでしょ。どうせそっちには行けないんだし」
「それでも…」
そんな感じで言い合っていた。
その瞬間は、私たちに何の余裕も与えることなく訪れた。
「なにっ」
その空気の振動とも言うべき波は、私たちの体の芯を揺さぶった。
「初めての感覚…」
見ると、地面の一部がひび割れ、そこから何かが漏れていた。
壁の向こうから、誰かが叫ぶ。
「来るぞ!」
その途端、先輩と私たちの間にあった壁が崩れた。