3.図書委員のお仕事
1か月ほどすると、この生活にも慣れた。
「もう私たちが入学してから1カ月かあ」
私が朝ごはんを食べながら、一緒にいた珠代に聞いた。
「珠代は基礎練に入った?」
「もうとっくにね」
基礎練というのは、魔術の基礎となる5つの構成要素から自らに適したものを選んで、ちゃんと魔術を教わる前に、その方面の練習をするのだ。
私は、火の方向だから、火の発生メカニズムとか、動かすときの注意点、どうやったら安全に火に対処できるかといった内容をしていた。
珠代は、水系統の魔力だと診断されていたため、基礎練は別メニューとなっているはずだ。
ただ、私は詳しくは聞かなかった。
この日は、初めての委員会が開かれる日で、私は放課後に校舎の最上階にある図書室へ向かった。
図書室は町の図書館のような量の蔵書があり、数万はあるという話だった。
「では、第1回図書委員会を始めます」
図書委員長が各クラスから1人ずつ出てきている図書委員が勢ぞろいして、委員長の話を謹聴していた。
「1年生は2年生や3年生に詳細を聴くこととして、簡単に説明します。この図書委員は、司書の専任教師の補助を行うことが主な仕事になります。週に1回、担当の曜日を決めて、本の貸出、返却。損壊した本の修理、返却本の棚へ戻すことが仕事となります。とりあえず、今からは、先輩と後輩で1組として、仕事について教えてもらってください」
委員長はそういうと、近くにいた人たちを3人ひと組にして、そのうちの1人は上級生になるようにして、班を作らせて、説明をさせた。
私が一緒に班になったのは、同じ学年の伊予葎と、2年生の川冶悟先輩だった。
先輩は、この学校としては珍しく、男性だった。
「じゃあ、ところどころ不必要だと思うところは、はしょることにするから。適時質問を頼む」
「はーい」
私たちは、そう言った。
「この図書館は、数万の蔵書全てにバーコードを付けているんだ。そのバーコードを読み取ることによって、貸し出しや返却を管理するんだ。それぞれに渡されている生徒証にあるICチップは、本の貸し出し情報とかがインプットされることになる。そいつとこの学校全部を管理してるパソコンとリンクしているから、どこからでもだれが何を借りているのかが、こいつさえあれば分かる」
私はカードタイプの生徒証を見た。
表面には傷が付きにくいようにコーティングがされていて、その内側に金色の5mm四方の小さなチップが埋め込まれていた。
ちなみに裏には健康診断を受けたかとか、私の魔力のタイプなどがスタンプされている。
「貸出される本は、生徒が勝手に俺たちのところまで持ってきてくれるが、返す時には俺たちが運んでいかないといけないんだ。ただし、本に魔法をかけて、勝手に運ばすようにしているから、俺たちがするのは図書館のあちこちにある台にまで持っていくことぐらいだがな」
「台って、どんなのですか」
「ああ、まだ見てなかったのか。通路のあちこちにキャスター付きの台が置いてあるんだ。その台は図書館の中で読んだ本とかも一緒においておくことになるんだ。後で案内するよ。仕事はしながら覚えて行けばいいさ。さて、質問は」
「していくときに分からなかったら聞かせてもらいます」
こうして、図書委員の私も始まった。