1.学食にて
翌日、私は寮の1階にある食堂にいた。
朝ごはんを食べてから、教室へ向かおうと考えたが、食堂はすでに生徒であふれていた。
どうしようかと考えていると、聞いたことがある声が近くで聞こえてきた。
「桜さん、こっちこっち」
手招きをしているのは、昨日知り合ったばかりの鈴木さんだった。
「席取ってるから、買いにいこっ」
手をとって、食券売場へ誘われた。
「人だらけなんだけど…」
まるで通勤ラッシュのときのように、食券売り場には人が殺到していた。
「大丈夫、ところで、何食べるの?」
「何があるかよく知らないから…」
「下調べは重要だよ。いつもあるメニューは、かつ丼、中華丼、親子丼、ラーメン、チャーハンだね。あとは日替わり定食が3種類。今日は、Aセットがラーメンとチャーハン、Bセットがマーボーナスとチャーハン、Cセットがモヤシいためとチャーハンだね」
「何そのチャーハンへの飽くなき執念」
「ここの店長さんがチャーハン大好きなんだって。でも、そんな理由でここまでつけなくてもいいのにねぇ」
鈴木さんは、さも楽しそうに言った。
「それでっ、何を食べるの?」
「とりあえず、ラーメンかなー」
財布の中を見ながら、はっと思いだした。
「そういや、政府からの補助金が出ているおかげで、ご飯はタダなんだよね」
「そうだよ。なんでも、魔法使いを増やすっていう政策らしいんだけどね。それだったら、学費も教科書代も無料にすればいいのに」
怒りながらも、楽しんでいるようだ。
私はラーメンを買い、鈴木さんはかつ丼を買った。
「ああ、紹介するね」
鈴木さんがとっていた席には、女性が一人座っていた。
「私の小学校からの友達の生井幺子よ。408号室にいるんですって」
「よろしくね。私は早田桜」
握手をするために手を差し出す。
生井さんは、中か丼を食べていた手をやすめ、握手を返した。
「よろしく」
4人掛けの席のうち、1つの椅子には私たちの荷物が積み重なっていた。
ご飯を食べ終わると、それぞれの荷物をもって、教室へと向かう。
「じゃあまたね」
生井さんは隣の1-2の教室、私と鈴木さんは1-1の教室へ向かう。
今日から、ちゃんとした授業も始まっていくため、一瞬たりとも油断ができなかった。