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16.保健室
目が覚めた時には、医務室の中だった。
首を左右に振って、間違いなく、高校医務室だと確認をする。
「やっと起きたか」
純白のカーテンをシャッと開けられると、白衣を着た女性が立っていた。
「…先生」
保健の先生だ。
だが、私は別の名前を口走った。
「オンジさん、でしたよね」
「ほう、さすがだな。真名を覚えているとは」
「あんなに印象的でしたから」
私はベッドに腰から上を垂直になるように座る。
「あの子は…ローエリはどうなりましたか」
「母親の元へと帰ったよ。また会うことができるだろう。あの塔が復活すれば」
「…だとしたら、きっと会えないでしょうね」
私は、再びベッドに身を沈める。
「最も、私もウルフの連中と、会うことができなくなったがな」
「それは、寂しくないんですか」
笑っていた先生に聞く。
「寂しいが、それも人生さ。寂しいと思えるからこそ、楽しみが倍増するんだよ」
カーテンを閉めようと、先生が外に出て、閉める直前に教えてくれた。
「ローエリ達は、幸せに暮らしているよ。それだけは伝えておくよ。あと、魔法も、これまで通りに使えるよ」
そして、私は、また一人になった。