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12.転送
落ちると思った瞬間、私たちは、まとめてふわふわしたシャボン玉のような膜に覆われていた。
なぜか、ローエリも私たちのところに入っていた。
「なんで、ローエリも入ってるのよ」
「偶然よ。近くにいたら、たまたま一緒になっちゃったのよ」
先輩のそばにひっついているローエリがなぜか疎ましく思えてきた。
だが、そんなことを気にしている暇はなくなった。
シャボン玉のような膜一枚隔てた向こう側は、さきほどまで落ち着いてあふれていた魔力の泉が暴走をしていた。
あたり一面に魔力の塊が浮かんでいる。
「触れた瞬間に、俺らは死ぬだろうね」
先輩が額に汗を吹き出させながら、私たちに言った。
しかし、この吹き荒れる嵐の中でも、ミヒャエルとフーエンズは、まだ戦いを続けているようだった。
「フーエンズ!お前の狙いは潰えたぞ!」
「いや、まだだ。ここまできたのならば、全ての層を壊してやる!」
フーエンズは、持っていた杖を突き出して、何かをつぶやいていた。
「いかん!」
ミヒャエルが、魔法を再びかけて、私たちを何処かへ送った。