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9.ボールトス
声がすると同時に、ボールのリレーが始まった。
「くるわよ」
ローエリが、先輩たちに話す。
「知ってるさ」
第3階層へは、すぐに来る。
第1、第2と来て、先輩のところへとボールが来る。
向こうでは、怪訝な表情を浮かべながら、こちらをチラ見しているフーエンズが、ボールの軌道を乱そうと風に乗せて、使い魔であるピーコックを飛ばしてきた。
「だめだ!」
先輩が叫ぶ。
ボールは、先輩が構えていた場所から遠い場所へと運ばれていく。
ピーコックが、その軌道を動かしたのだ。
だが、ピーコックは、そのままボールにぶつかった衝撃で、あらぬ方向へ飛ばされて、ボールも、全く違うところへ飛んでいった。
「私が!」
私が一番近くにいたため、ボールに飛びつく。
だが、飛び付くと言うよりか、スライディングで受け取ったため、そのままでは、次へと渡すことができない。
「先輩!」
叫んで、ボールを寝転がった姿勢のまま渡す。
運良くキャッチできて、そのまま第4階層へと渡す。
第5階層から第1階層へと戻ると、魔力があふれている泉が沸騰したかのように、泡立ち始めた。