エピローグ
ナミカは王都近くのヘイアン宇宙港の一室にいた。
ヘイアン宇宙港は、ターマハラで一番巨大な宇宙港である。
巨大な地上へと続くゲートが開放されていた。
その壁一面の巨大な窓から、宇宙港全体が見渡せる。
地上へのゲートが開いており、艦船が宇宙へ向けて次々とターマハラから飛び立っていく様子が窺える。
その窓からナミカは発進していく艦隊を眺めていた。
「ナギト……」
ナミカの心の中にあるのはナギトへの思い、そして死への恐怖だった。
もしナギトがこの戦争で命を落としてしまったら――その想いが、どうしても拭えなかった。
「ナミカ…..」
「ナギトのことが心配なのはわかるわ。でもあなたは指導者なのよ?」
「それも忘れないで….」
「女王陛下。準備が整いました」
カガセオが入ってきた。
「また、全軍は滞りなく着々と宇宙へ上がっております」
「大将軍。任務ご苦労。今から摂政と向かいます」
「はっ」
「待ってください……カガセオさん……あなた、何者なんですか?」
「大将軍……ふざけないでください。カガセオさんは、そんな人ではないでしょう?」
アヤネとカガセオは沈黙した。
アヤネが口を開いた。
「カガセオさん…..いいわね?」
カガセオは静かにうなづいた。
「カガセオはね…..オモダルなのよ」
「嘘......それって.....」
「そう。私の夫。あなたのお父さん….」
一方その頃、ナギトは生体鎧に乗り込んだまま、艦船の発進デッキに固定されていた。
内部にアナウンスが流れる。
『これより、一分後に発進いたします。』
(宇宙か……研修で訪れた時とは、まるで意味が違う。)
(戦争か……ナミカさん……)
しばらくして――
『……3……2……1……発進!』
ゴゴゴゴゴ……艦体全体が咆哮するように震えた。
ナギトの身体に押し潰されるほどの加速重力が叩きつけられる。
歯を食いしばる。
そしてさらにしばらくして――
揺れは嘘のように消え、身体は宙に浮かぶような感覚へと変わった。
そしてその後方、
静かに回転する惑星ターマハラが浮かんでいた。
一部だけの深い蒼の海。
一部だけの翡翠の緑。
そして大地の大半を覆う、赤く焼けた砂の大陸。
赤銅色の荒野と、柔らかな肌色に近い砂丘が、
夕陽を浴びたような濃淡の縞を描き、
まるで巨大な絵画のように惑星を彩っている。
美しい。
だが同時に、どこか息を潜めた傷跡のようでもあった。
かつて人が地上を失い、
地下へと潜ることを選んだ世界。
――それが、ターマハラ。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。
以上がエピローグとなります。
最後に、ターマハラの全貌が明らかになりました。
ターマハラは、地球のように一面が緑に覆われた惑星ではありません。
緑豊かな地域は、ごく限られた場所にしか存在しないのです。
このことからターマハラは本当に悲惨な歴史を辿っていっていることがわかります。
次章からは、戦争を主軸とした物語が展開されます。
第二章は、少し時間を空けてから再開する予定です。
もしご興味を持っていただけましたら、少しの間お待ちいただければ幸いです。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。




