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ターマハラ ― 人間性への回帰 ―  作者: クリコミ
第一章 ターマハラの神憶
32/46

第三十段 ナニワへ

そして大会九日目――


優勝したのはアメノコトタチだった。

準優勝はヤハタ。


両者ともターマハラ出身の軍所属選手であった。


ヨモツカミは、アヤネとの会話の後、大会への出場を辞退していた。

おそらく、何か思惑があってのことだろう。


大会は閉幕し、

その後、大学選手団は近くの店で打ち上げを行った。


そこでコヤネや他の選手たちと語り合い、

ナギトは久しぶりに心から楽しい時間を過ごした。


しかし――

告白をして以降、ナミカとは連絡が取れていなかった。

何度か通信を送ったが、返事はない。


そしてナギトは、

再び連絡すべきかどうか、迷い続けていた。



閉幕の翌日。

ナギトたち選手一行はアスカへ戻り、それぞれ帰宅した。


部屋に入ると、

どっと疲れが押し寄せ、ナギトはベッドに横になった。


ナミカに会いたい。

声を聞きたい。


頭の中は、ナミカのことで埋め尽くされていた。


(アメノコトタチ……あれは、ナミカだったのではないか?)


あの指導するような戦い方。

それは、いつもナミカが自分にしてくれていたものと同じだった。


翌日、大学へ向かう。


日常は戻った。

だが、ナギトの活躍は大学中の話題となっており、

行く先々で声を掛けられた。


それでも――

授業が終わっても、ナミカとの特訓はもうない。


世界大会まで指導する。

それが、あの時の約束だった。


そう思うと、

胸の奥にぽっかりと穴が空いたようだった。


ある日。

大学の廊下を歩いていると、ナギトは一人の女子学生に呼び止められた。


人生で初めての告白だった。

一年生の、可愛らしい少女。


だがその光景は、

かつて男子学生に囲まれていたナミカの姿を思い出させた。


ナギトは、その告白を断った。


少女は泣きながら去っていく。

ナギトの胸も痛んだ。


泣き顔が、いつまでも頭から離れなかった。



それから数日が過ぎても、

ナミカの姿は大学に現れなかった。


周囲はナギトを称え、もてはやす。

だが心は満たされない。


静かに、苦しい日々が続いた。



一ヶ月が過ぎても、

ナミカは現れなかった。


そして、さらに数ヶ月――


ナギトは二年生の終わりを迎えようとしていた。

季節は、すっかり春になっていた。



大学四年生の卒業式の日、

**「ナミカが大学に来ている」**という情報が入った。

ナギトは急いでナミカのもとへ向かった。


「ナミカさん!」


式場から出てくるナミカの姿があった。


「ナギトさん……」

「ごめんなさい。連絡ができなくて……

この後、連絡しようと思っていたんです……」


ナギトは急いできたせいで、息を切らしていた。


「いえ……

どうしてずっと大学に来られなかったんですか?

とても心配していました」


「ご心配をおかけしましたね……

詳しいことは言えないのですが……家庭の事情なんです」


ナミカの表情は、どこか陰りを帯びていた。



「そうだったんですね……

もし何かあれば、相談に乗ります。

自分でよければ……」


「ふふ……ありがとうございます」



「もしよろしかったら、

一緒に行きたい場所があるんです……」


「ナニワというところなんですが、少し遠いですが、

朝早く出れば日帰りでも行けます」


「突然で申し訳ないのですが、

明日の休みの日、いかがですか?」


「はい。大丈夫です」


「よかった!」


ナミカは、少しだけ笑顔を取り戻した。


「それじゃ、私はこれで失礼しますね」


「後で集合場所を送ります」


そう言うと、ナミカはナギトの前から去っていった。

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