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第零段 漆黒の生体鎧

生体鎧セイタイガイ――。

自身の遺伝情報と完全に一致する有機体をその身に纏い、神経結合することで、まるで自分の身体であるかのように操作できる生物機械兵器である。

全高はおおよそ二十メートル前後のものが多い。

その形状は人間に酷似したものもあれば、他の動物を模したものも存在する。

生体鎧にはさまざまな武装を搭載することが可能で、

一般的な装備としては銃器や剣などが挙げられる。


ナギトは、この生体鎧の世界屈指の使い手だった。

さらに彼は、今の時代では絶滅危惧種とも言える、一切の操作を受けていない『自然遺伝子』の持ち主だった。その不確定要素こそが、彼の強さの源でもある」

ナギトが世界屈指と称されるに至ったのは、血の滲むような努力の積み重ねによるものである。


ナギトが操る、不気味な人型の漆黒の生体鎧は、敵から恐怖の象徴として認識されていた。

その両眼は、暗闇の中で赤く妖しく輝いている。


この日、ナギトは宇宙空間を飛行しながら警戒任務に就いていた。

突然、ターマハラ軍旗艦ヤマトから通信が入る。


「ナギト……(一瞬の沈黙)……ナミカです。異常はない?」


「ナミカ様。はい、異常ありません」


「この空域は安全なようです」


「そう。わかったわ。帰投したら、私のところに寄ってもらえないかしら?」


「また、あの話でしょうか?」


その瞬間――


「緊急! 敵影発見! 警戒中の者は、直ちに現場へ急行せよ!」


緊急連絡が音声で響いた。


「……思ったより近いな」


「こちらナギト、ただちに向かう!」

「申し訳ありません、ナミカ様。話はまた後で」

「気をつけて、ナギト……」


ブースターを噴射し、速度を一気に引き上げる。

ナギトは戦場へと急行した。


視界の先では、青色の生体鎧三体が、味方の赤色の生体鎧二体と交戦しているのが確認できた。


ナギトは常識外れとも言える超高速で敵陣へ接近しながら、

次の瞬間、敵がどのように動くかを瞬時に予測する。

予測されたその位置へ、高速で二度、銃を発射した。

敵の人工知能が演算した回避ルートの、さらにその先――ナギトは『直感』という非合理な弾丸を撃ち込んだのだ。


直後、二体の生体鎧が銃撃によって撃破される。

ナギトは勢いを殺すことなく残る一体へ肉薄し、

間髪入れず剣を抜き放つと、その胴体を真っ二つに切り裂いた。


わずか一瞬の出来事で、三体の生体鎧はすべて沈黙した。


ナギトは短く告げる。


「帰投する」


そう言ってブースターを噴射し、母艦へと戻っていった……。

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