面白さゼロなのに、爆発的に読まれている作品の真相。
「……なんで、こんなものが人気なんだ?」
某小説投稿サイトで、累計総合ランキング1位の大人気作品。初投稿は4年前だが、未だに日間ランキングにも顔を出す、オバケ短編小説である。
異常なまでのブックマーク数と平均評価点数の高さ。しかしながら、それにまったく見合わない、この内容は、いったいなんだ?
文体は、非常に簡潔で読みやすい。だが、ただそれだけ(……)。内容は極めて平坦で、起承転結の「起」すら起こらないのだから、理解に苦しむ。
文字数にして、1万文字弱。
にもかかわらず、三度のチャレンジで、三度とも途中で投げ出してしまうほど、退屈で眠気を誘う作品。たとえ、真昼間から読み始めたとしても、である。
全文をコピペし、ChatGPTに分析させてみた。
結果は、私と同様に「文体は平明で読みやすいが、起伏のない平坦なストーリー。日常風景の切り抜きではあるが、ドラマ性はなく、何を主題としたものかは非常に掴みづらい」といった評価であった。
とんでもない「不正な組織票」も疑ったが、読み切る前に、感想欄に理由を求めるのは、自分の中では、ご法度の行為(―― ChatGPTには訊ねているのにか?)。なので、ずっと「謎」が解けずにいたのだが、先日、投稿サイトの仕様変更により、作品ページの下部に「新着の感想」の冒頭が表示されるようになり、不意に「答え」を知ることとなった。
「これほどの素晴らしい"導眠"小説をこれまで知らずに生きてきたとは……」の文言。
……なるほど、アクセス解析を覗いてみれば、異常なまでに「夜帯」に読まれている。たしかに、三度目のチャレンジ時には、私も無意識に就寝前に読み、そのまま、朝までスコーンと眠ってしまったという記憶がある。寝起きも素晴らしく、何かが「整った」感すらある目覚めでもあったな、そういえば……。
これはさすがに、私もこの作品に高評価をつけるほかあるまい。