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プロテイン     【不動静真視点】

●不動静真



投球練習をはじめてから、身体があちこち痛むだけで、あまりうまくなっとらんのう。

練習方法に問題あるんじゃろうか?


「調べてみるか」


PCの電源をつけて、練習方法を検索にかけて……

……色々あるのう。プロが教える投球練習か。

リリースポイント。トップを作る。軸足に……

……色々あるのう。オレは野球はど素人じゃけえ、基礎的なことからはじめたほうがええな。

ただ投球フォームを真似るだけじゃと、どうしてもコントロールが乱れる。

動きにブレがあるんじゃろうのう。思うように身体をコントロールしきれていない。

自分の身体を思い通りに動かせるようになるには、どういうトレーニングをしたらええのか。そのために必要なのは……


「コーディネーション能力を向上させる必要がある?」


コーディネーション能力?なんじゃ?

コーディネーション能力とは「自分の身体を思い通りに動かす能力」のこと。

これじゃの。オレたちに必要なのは。


「コーディネーション能力は7つの能力に分類される。【リズム能力】・【バランス能力】・【変換能力】・【反応能力】・【連結能力】・【定位能力】・【識別能力】」


全て鍛え上げる必要があるんか。大変じゃのう。

コーディネーション能力はゴールデンエイジの間に鍛えることが重要で……

“ゴールデンエイジ”?なんじゃ?


「8~12歳までの年齢を“ゴールデンエイジ”といって、運動能力が飛躍的に発達する時期である。神経機能は、5歳頃までに約80%、12歳頃にはほぼ100%形成されるため、運動に関わる神経を育てるには12才までの時期が重要になる」


オレたちは丁度“ゴールデンエイジ”じゃ。今、やらんといかんいうことか。


「ゴールデンエイジ期は、「即座の習得」といって見よう見まねですぐに高度な動きも身に着けられるため……」


難易度の高い動きを身に着けるには、今の年齢が最適ということか。

高度な技術は大人になってから覚えるものだと思っていた。小学生の間に覚えてしまったほうがええ言うことか。

知らんかったら、無為に過ごすところじゃったのう。

一流アスリートになるためには、子供の時から練習せんといかんいうのは、こういうことか。

12才までがリミットなんか。


コーディネーショントレーニング

技術習得の練習

同時にやっていく必要がある。


「専門種目だけに力を入れず、さまざまな種目に触れることで神経の成長を促す……」


野球の練習だけしとったらあかんのか。

サッカーやバスケなど多くのスポーツと外遊びで身体機能を育てんといかんのじゃな。

幸い、ここは田舎じゃ。外遊びには事欠かない。山も湖も広場もある。大地を誘って遊べばええんじゃの。


「そう考えたら、楽しそうじゃのう」


やるべきことは見えてきた。でも、まだ足りん気がするのう。

……根本的なことをもっと知っとかんとあかんな。間違った練習をしても、上達はせん。

年齢にあったトレーニングがあることさえ、オレは知らなかった。


「年齢か」


オレと大地にも差がある。

オレと大地は一学年の差しかないが、年齢差は2年近い開きがある。オレの誕生日は5月、大地は3月。

オレたちの年齢で2年差は大きい。大地がオレと同じことをしていたら、身体を壊してしまう可能性がある。

それでなくとも、大地は小さいからのう。同級生の中で一番背が低くて細い。

……大地はこのままでは、世界最速投手と同じ投球フォームで投げられるようになっても、世界一速い球は投げられんじゃろうのう。世界一速い球を投げられるようになるには、それ用の身体が必要じゃ。


「身体づくりもやらんと」


まずは身長と体重を増やさんと。それから、筋力、柔軟性、体力、いろんなもんを身につけていく。

幸い両親はどちらも背が高いほうじゃ。遺伝的には平均以上になるポテンシャルは持っとる。その証拠にオレは同級生の中では背が高いほうじゃ。

大地がこまいのは、何が原因なんじゃろうな。

背を伸ばす方法を調べてみるかの。



◇背を伸ばすには


【食事】

大地は食が細い。これがあかんのじゃろうな。

痩せてると身長は伸びない。体重を増やさな。筋力がないから腹も空かんのかもしれん。

カルシウムとタンパク質を同時に摂れる食事が必要なんか……

うちは食事を作れる人がおらんけえ、宅配か出来合いの物を買ってくるだけじゃもんな。

少しは料理を作れるようにならんといかんのぅ。

そうはいっても、すぐに美味しい料理が作れるようにならんしのう。料理を覚えるまで、なにかいい方法が……

……骨の成長を助けるプロテイン。これじゃ!


【睡眠】

これは大丈夫そうじゃの。大地は、よく寝とるけぇ。

イソベより寝とるくらいじゃ。


【運動】

ただ、運動すればええわけでもないんじゃな。全身運動が必要なんか。

バスケやバレーみたいに跳んだり身体をひねったり伸ばしたりするとええんか。

過度な筋力トレーニングはNG。

柔軟性をつけるストレッチもええんじゃな。投球にも柔軟性は必要とあったからの、これはやらんと。



食事、睡眠、運動。

……物足りんのう。これだけだと普通に成長するだけになりそうじゃ。

もっと他にドーンと背が伸びる方法がないもんかのう……

身長を伸ばす成長ホルモンの投与?そんな治療があるんじゃのう。

けどのう、大地は背は低いが、医者にかかるほどではないしのう。

病気でもないかぎり、じいちゃんが認めてくれんじゃろ。自力でホルモンを増やすしかないの。



身長を伸ばすホルモンとして挙げられるのは、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンの3種類


●成長ホルモンは、成長因子の産生を促す。成長因子の作用で骨が成長し、身長が伸びていく。

成長ホルモンを増やす方法。食事・睡眠・運動。基本じゃのう。


●甲状腺ホルモン

これは普通に生活していれば大丈夫そうじゃのう。


●性ホルモン

性ホルモンは身長を伸ばすと同時に、背を止める働きもある。

男性ホルモン(テストステロン)は、身長を伸ばし筋肉質な体型やがっしりした骨格を作る役割をする。


男性ホルモン(テストステロン)を増やす方法

1・カルニチンの摂取


2・姿勢

胸を張った姿勢をとるとテストステロンが多く出て、ストレスを感じたときに分泌されるコルチゾールというホルモンが減る。

大地は姿勢が悪いの。これは改善せんとな。


3・日光浴

これは大丈夫じゃの。


4・認める 褒める

テストステロンは別名「社会性ホルモン」と呼ばれ、評価されることで分泌が高まる。

認める。褒める。両方が必要なんじゃの。

今まで大地は認められることも褒められることもなかったからのぅ。オレが認めて褒めてやらんと。


5・ストレスを貯めない

学校でストレス貯めてそうじゃのう。ストレス解消を考えてやらんと。


テストステロンは、過剰に分泌されると骨の成長が加速され身長の伸びが止まる。

これが厄介じゃのぅ。


「結局はバランスのいい食事と睡眠と運動か」


あと、心の健康と姿勢もかの。

じいちゃんに頼んで食事の改善をせんとのう。食事が改善されるまではサプリメントで補って、改善出来たら頼るのはやめたほうがよさそうじゃのう。

料理は大変そうじゃけど、大地といっしょに美味いもん食って運動しとれば、オレも必然的に背が伸びるしの。一石二鳥じゃ。


「よし!早速、実践じゃ」


居間でイソベとだらだらしてる大地に声をかける。


「大地、バスケするか」

「どうしたんじゃ。いきなり」


のそのそと起き上がった大地が、不思議そうにオレを見てくる。


「そのあとは、プロテインじゃ!」

「なにいっとるんじゃ?」



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