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兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第二章

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駆け出しピッチャー    【不動静真視点】


●不動 静真



意外に打たれんもんじゃのう。オレ相手では本気になれんだけかもしれんが。

このままだと守備の練習にはならなそうじゃけえ、どうしたもんか。

配球も、もっと勉強したいんじゃがのぅ。どうしたら、常永を本気にさせられるんじゃ。


打たせて仕留める。

そういう投球に切り替えるか。打たれる怖さを知っておくに越したことはないじゃろうからのぅ。常永相手に無謀かもしれんが、練習試合じゃ。一球も無駄にならんよう、勉強せんと。

……点を取られん程度にできるとええんじゃが。


左バッターか。

打たれても、つまらせて、刺す。

凡打になるように、うまく……


「ボール」


見逃した。振らんかったか。ボール球を打てると思わせるのは難しいか。2軍とはいえ、常永のバッターじゃ。オレたちより一枚も二枚も上手じゃけえのぅ。

もっと際どい所に投げんと……

点にならない打たれ方を身に着ける必要がある。

点を取られなければ、打たれてもええんじゃ。こういうのは、経験がものをいう。じゃけえ、練習試合で勉強させてもらわんとのう。

甘い球に見せかけて、……つまらせる!

サードが捕って、一塁に送球。アウト。

よし!和泉先輩の守備は安心できる。大地もやれとる。


向こうの監督が動いた。

バッター交代?

諏訪原?

今日の試合には、でて来んと思ってたが。


「兄ちゃん、三振じゃ!」


大地は気楽じゃのう。そう期待の目を向けられてものう。

相手は左打ちのスラッガー諏訪原。全国レベルの高校生バッターの中でも、その実力は飛び抜けとる。

かたや、オレはまともに試合で投げたこともない駆け出しピッチャー。分が悪いどころじゃない。

バッターボックスに立つ諏訪原は、今までのバッターとは、やはり違う。

隙がない。ストライクゾーンなら、どこに投げても打たれそうじゃ。

諏訪原に打たせて捕るというのは無謀じゃけえ、抑えにいくか。

そうはいっても、どこに投げたら、いいのか……

初球は様子見で……


「ファール」


引っ掛けることができたと思ったが、諏訪原にうまく流されファールに持ち込まれた。

これが諏訪原か。

変化球への反応速度が速い。ヤマを張ってるわけじゃなさそうじゃ。

ピッチャーがボールをリリースした瞬間から、ボールの軌道、球種、コースを瞬時に判断している。

マウンドからホームベースまでの距離は18.44メートル。オレの球速を140km台として、オレがボールをリリースしてからキャッチャーが捕球するまでにかかる時間は、おおよそ0.4秒。

諏訪原はこの0.4秒の間に打つ打たないを判断し、コースや変化に合わせバットを振ることができる。

冷静に考えると化け物じゃのう。

スピードのない変化球は打たれる。甘いコースでも打たれる。


「ボール」


打たんか。よう見とる。


「ストライク」


見逃した?……スライダーが苦手っちゅうことはなさそうじゃけどのう。

読めんな。ストライクを取ったのに、こっちが追い詰められた気分になる。


「ストライク」


空振り。このくらいのスピードなら通用するのか?

……いや、2度は通用せんじゃろう。配球をもっと考えて……

今日は打たれても、点を取られてもええ。

諏訪原を徹底的に研究しつくすつもりで、色々試させてもらう!

まあ、向こうもそう思ってそうじゃけどのぉ。

こんな上等な相手と練習試合ができることなど、この先ないじゃろうからのう。

勉強させてもらわんと。



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