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兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第一章

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なんとかせんと    【不動静真視点】


●不動静真



大地は日常的にからかわれてるようじゃ。それで喧嘩になったら、悪いのは怪我させた大地ということにされてまう。

大人というのは、騒ぎ立てる親がいるほうの味方になるからのう。

先生は事情を知っていても大地の味方はしてくれん。大人は頼りにならん。オレがなんとかせんと。

オレが大地の同級生と話付けるっちゅうこともできるが、それだとオレのおらんところでいじわるされるだけだしのう。

……大地がからかわれんようにするしかないのう。

周囲から何か一つでもすごいと思わせることができれば、からかわれることもなくなるじゃろ。

大地に特技を作るとして、何がええじゃろな。

格闘技は加減できんでやりすぎてまいそうじゃ。チームプレイが重要なサッカーやバスケは揉めそうじゃのう。

……野球はどうじゃろう?球を投げて打つ。一対一のサシの勝負に近い。勝負は一瞬。大地の気性に合っとる気がするの。

ボールをうまく投げられるようになってきとるしええかもしれん。


「決まりじゃ!」


大地はオレの真似すればできるんじゃ。

バカになんてさせん。

それには、まずオレが見本にならなあかんな。

ボール一つ投げるのだって正しいフォームで投げんと。

オレがおかしな投げ方や打ち方をすると、大地はそれを真似してまう。


「勉強せんとなぁ」


この辺には教えてくれるような大人はおらんけえ。自分でどうにかせんといけん。

まずは情報集めからじゃ。


「じいちゃん、ネットで調べものしたいんじゃ」


仕事から帰ってきたじいちゃんに、早速、頼みに行く。


「……使ってないパソコンをあげるから好きに使いなさい。部屋に持っていってあげるから」


じいちゃんが、オレと大地の部屋に設置したパソコンはやたらデカかった。



パソコンの電源を入れる。

投球フォームで検索をかけると、ズラズラと文字が並ぶ。

とりあえず上から見ていくかの。

投球フォームといっても、色々あるんじゃなぁ。

参ったのぉ。大地に合うフォームは、どれなんじゃろ?

投手だけでもフォームが何種類もあるのに、内野手と外野手でも投げ方が違うんか。

フォームの前に、ポジション決めんとあかんな。

ピッチャー、キャッチャー、それから内野手、外野手。

……やっぱり、派手なのがええのう。みんなに注目されるポジション。

野球の花形といえば、ピッチャーかホームランバッターといったところかのう。


「……投手じゃの」


守備は、投手じゃ。

投手の中でも、注目度が高い投手に育てたいのう。

注目度が高いっちゅうたら、速い球が投げられる投手じゃろうな。

160キロ越えの球を投げる投手は、世間の話題になりやすい。

日本一。いや、世界一速い球を投げたら、みんな注目するじゃろ。

……世界一速い球を投げる大地。……ええかもしれんのう。

今現在、世界一速い球を投げるのは誰なんかの。調べてみるかのう。

……アメリカの選手なんか。

……動画ある。

やっぱり、世界最速記録を持ってる投手はかっこええのぉ。

このフォームを真似したら、速い球が投げられるんかのぉ。この選手の投球フォームを真似を……


「速くてようわからん」


なんかヒントはないかのぅ。

この投手の投球フォームを分析しとるブログがある。

世の中、いろんな趣味を持っとる人がいるもんじゃのう。

……ええと、蹴りだし?回旋?腕だけじゃなく、下半身の使い方も重要なんか。

一連の動作の連動性と速さが、肝のようじゃのう。

球ぁ投げるだけで、ここまでぎょうさんやることあるんかぁ。


「たいぎいのぉ」


思った以上に大変そうじゃ。

じゃけんど、やらんと。

思い立ったら吉日じゃ。


「じいちゃん、動画を撮影できるカメラを持ってたら貸してくれんか」

「……古いビデオカメラでいいか?」

「スローモーション撮影できる?」

「さあ?説明書も渡すから自分で調べなさい」


まずは自分が習得せんと、大地に教えることはできんけえのう。

見様見真似じゃああかん。教えるなら、自分自身が実践できるくらい深く詳細に理解する必要がある。

自分のフォームを撮影して、世界一の選手のフォームと比較しながら修正して覚えていく。

投げられるようになったら、大地に教える。

この方法しか思いつかんけぇ、これで行くしかない。


「兄ちゃん」


大地に呼ばれて振り向くと、眠そうな顔をした大地が布団に潜り込むところだった。


「ワシ、先に寝るけえ。おやすみ」

「もう、そんな時間か。おやすみ。大地」


実践するのは明日じゃな。とりあえず、キャッチボールの投げ方から。それから世界一の投手の投げ方を覚える!

それで大地に教える。

そうすりゃあ、大地は超一流選手にだってなれるんじゃ。

世界一速い球を投げる投手の誕生じゃ!


「……兄ちゃん、なんでワシのこと、じっと見とるんじゃ?」


大地は何も心配せんでええ。


「任せろ!大地!」

「何をじゃ?」



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