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兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第二章

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諏訪原    【不動静真視点】


●不動 静真



「今、話してたの諏訪原だよな?どうして、諏訪原がいるんだ?うちとの練習試合にでてくるような選手じゃないだろ」


鞍掛キャプテンが訝っている。当然だ。

諏訪原は2年にして、常永の一軍の4番。プロ入り間違いなしのスラッガー。


「常永は部員数が100人はいる大所帯だからな。外部との試合に一軍はそうそう出てこない。うちみたいな弱小校相手なら、二軍の下位しか出てこないと思ってたんだが……」


キャプテンの疑問は当然じゃ。

実力差からいって、二軍との試合になるはず。一軍の4番が、ユニフォームを着て、こんなところにおるはずはないんじゃ。


「……大地、もしかして諏訪原となにかあったんか?」


この練習試合を決めてきたのは大地だ。まさか……


「あのあんちゃんの取り巻きと揉めたんじゃ」


大地……、やっぱり……


「諏訪原は注目選手じゃからのぅ。あまり問題を起こしたらあかん」


ただの学生同士の喧嘩ではすまなくなる。


「揉めたのはチンピラのほうたちじゃけえ、問題ない」

「問題ある」


揉め事を起こさんということができんのかのう。


「あの諏訪原が大地と揉めたからって、うちと練習試合しようと思うもんかなぁ。大地、どんな揉め方したんだ?」


久慈が面白がって、大地に尋ねとる。確かに、取り巻きの喧嘩だったのなら、練習試合をする必要ないのう。


「あのあんちゃんより兄ちゃんのほうが野球上手いと教えてやったからのう。興味持ったんじゃろ」

「なんてこと言ったんじゃぁ」


諏訪原のことを知らんかったとはいえ、なんちゅうこと言ったんじゃ。諏訪原は山梨どころか全国トップレベルの選手に。


「事実じゃけえ。問題ない」


……大地は、勘違いしとる。


「試合経験のない大地からすれば、オレがうまく見えるのかもしれんけどのう。オレくらいの実力のもんは強豪校あたりにはゴロゴロおるんじゃ。今年の甲子園出場校の南海大常永にも、もちろんおる。諏訪原はその中でも、飛び抜けた実力を持った選手なんじゃぞ」


大地はまともに野球をしたことがないからのう。

オレのことを日本一野球がうまいと思うとる。参ったのぅ。


「兄ちゃんよりすごい選手なんぞおらん。これからそれを証明したるけえ。のう、兄ちゃん」


大地は笑顔でなにを言うとるんじゃ。

なんでオレのすごさをオレに証明せんといかんのじゃ。


「よーし、集まってくれ」


鞍掛キャプテンが集合をかける。

参ったのぅ。今日の練習試合で、オレがたいしたことないことがわかって、大地がやる気をなくさんとええんじゃがのう。



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