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兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第二章

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事後報告    【不動静真視点】


●不動静真



祭りの手伝いを終え、休憩所で和泉先輩と屋台の飯を食っとると、大地たちもやってきた。

屋台で買ったらしき、大量の食べ物を持って。


「兄ちゃんは、なに食べとるんじゃ?」

「明太海鮮焼きそばじゃ。なかなかうまいぞ」


今日みたいに暑い日は、さっぱりした味付けのもんがええ。


「辰海、それ買ったかのう?」

「いや、買ってない」

「今から買いに」

「まずはそれを食べてからにしい」


大地たちがテーブルに並べた屋台飯が冷えてまうじゃろう。


「大地、辰海、これも食べていいぞ。差し入れでもらったんだ」

「だんだんじゃ」

「おお!やったぁ。いただきます!」


和泉先輩が紙の手提げ袋から出した食べ物を並べていくと、小さいテーブルは食べ物であふれる。

祭りはええのう。地元の祭りでも、手伝いしとると差し入れで腹が膨れる。

あっという間に買って来た屋台料理を食べつくした大地と辰海が、和泉先輩の差し入れを食べだす。差し入れもすぐになくなりそうじゃ。育ち盛りじゃのう。


「そうじゃ、日曜日、北仙丈野球部の部員集めてくれんか。試合することになったけえ」


大地が肉巻きおにぎりを頬張りながら妙なこと言うて来た。


「なんで大地が野球部の試合を決めてくるんじゃ」

「成り行きじゃの」


どういう成り行きで、そうなるんじゃ?


「どこと?」


副キャプテンの和泉先輩が興味を示す。練習試合の相手を見つけるのに苦労しとるようじゃからのう。藁にも縋りたいのじゃろ。練習試合は歓迎だが、まともな相手でなければ許可は下りんけどの。


「なんといったかのぅ?辰海、覚えちょるか?」

「忘れんなよ。南海大常永だろ。今年の山梨代表」

「そこじゃ」


聞き間違いか?南海大常永と聞こえたが……


「南海大常永?!どういうことじゃ?!」

「本当に南海大常永なのか?なんで南海大常永がうちとなんか試合してくれんだ?」


和泉先輩と顔を見合わせ、大地ではなく辰海に顔を向けると、モダン焼きを咥えたまま困った顔になる。

辰海が校名を間違えて覚えているわけでもなさそうじゃ。

どういうことなんじゃ?


「あかんか?」


大地がしょんぼりとしてしまう。


「あかんわけじゃないけどのう。なんでじゃ?南海大常永校は、今年の甲子園出場校じゃぞ?」


こっちが練習試合を申し込んでも断られるだろう。差がありすぎて。

どうしてうちの野球部と練習試合をしてくれるんじゃ?


「常永の野球部員らと、ちいっと揉めただけじゃ」

「なにしとんのじゃ」


揉めたって、どういうことじゃ。数時間の間に、なんでそないなことになるんじゃ。


「……常永と試合か。こんなチャンス、そうそうないし、出来るならやりたいが……」


和泉先輩が悩ましげに腕を組む。


「3年が引退して、北仙丈野球部には、現在5人しかいない」


部員が足りてない上に、3年まで引退してしまっとるからのう。今は5人。2年が2人、1年が3人。試合をできる人数には程遠い。試合をしたくてもできないのが現状なんじゃ。


「ワシと辰海も野球部いうことにして出たるけえ」


大地が助っ人を買って出る。大地が持ってきた話なら、責任は取ってもらわんとな。


「それでもあと2人必要だな。3年の先輩に声をかけてはみるけど期待しないでくれ」


そうは言うものの、和泉先輩の顔は期待に満ちている。3年生も1日くらいなら付き合ってくれる可能性は高い。

南海大常永と練習試合ができるというのは、それだけ魅力がある。


「おう、ここにいたのか」


祭りの手伝いを終えたキャプテンたちが、オレたちを見つけ、こっちへとやってくる。

南海大常永との試合のことを話したらどんな反応をするだろうか?



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