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兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第二章

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22/44

今年は       【不動大地視点】


●不動 大地



今日の晩ご飯は、アジの刺身と総菜の鶏の梅しそ竜田揚げと肉野菜炒めとなめこと豆腐のみそ汁。それからじいちゃんが作り置きしてくれた豚の角煮と漬けたきゅうりとミョウガの浅漬け。

野球の練習で忙しい兄ちゃんに代わって、今日はワシが用意したけえ、ちょっと物足りんの。


「うまいのぅ。大地、料理うまくなったなぁ」


兄ちゃん、機嫌よさそうじゃ。肉野菜炒めと味噌汁しか作っとらんのにべた褒めじゃ。

これは行けるかもしれんの。さりげなく提案してみるかのぅ。


「兄ちゃん、もうすぐ夏の大会じゃのう、学校サボって応援に行くけえ」

「ダメに決まっとるじゃろ」


兄ちゃん、厳しいの。


「ちいっと見るだけじゃけえ」


目立たないよう、こっそり。


「受験生じゃろ。高校行けなくなってもええんか?」

「……それは、困るのう」


教師の機嫌を損ねずに試合を見る方法があればええんじゃが。


「それにのう。見に来ても、オレは出るかわからんけえ」

「どういうことじゃ?」


兄ちゃんが出なかったら、誰が出るんじゃ?


「うちの野球部、部員が7人しか集まらんかったことは話したろ?帯那高校との連合チームで大会に出ることになったからのう。向こうは5人で、12人おるけえ、試合にでられるかどうか」


試合に出られん部員がおるのは仕方ない。じゃけん、兄ちゃんより上手い選手がいるとは思えん。


「兄ちゃんがピッチャーじゃないんか?」

「帯那校の3年にピッチャーおるからのぅ。3年優先じゃろうな」


帯那校の3年ピッチャー?


「それで勝てるんか?」


その3年が兄ちゃんより力あるとは思えんのう。兄ちゃんが投げれば確実にいいとこまで行ける。みすみす負ける布陣で挑むんか?


「今年は勝ち負けにこだわらんで、楽しむことにしたんじゃ。勝ちあがるには、足りないもんが多すぎるからのう」


北仙丈野球部で兄ちゃん以外でうまいと言えるのは兄ちゃんの友人の久慈くらいじゃけえのぉ。他はお世辞にもうまいとは言えん。兄ちゃんには限界が見えとるいうことか。


「オレには来年も再来年もあるけどのぅ。3年は今年しかない。大会に出るためにずっと努力してきた先輩たちに思う存分野球してもらいたいんじゃ」

「楽しむ野球……。ストバスみたいなもんかの」


北仙丈の上級生たちは、中学生のワシが練習に交じっても嫌な顔せんでトスだしてくれよったけえ、わからんでもないのう。


「それはそれでええかものう」


つらいより楽しいほうがええ。

兄ちゃんが、そういう野球を望んでいるなら、それがええんじゃろう。

ワシも兄ちゃんを見習って……


「大会が終わったら、その分、好きにやらせてもらうつもりじゃけえ」


兄ちゃんの目が光る。

……兄ちゃん、何する気じゃ。



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