表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/44

変化球    【久慈正樹視点】


●久慈 正樹



ゴッ!


「っぅ!!!」

「ん?なんじゃ?」


静真が振り返り、ミットを抱え膝をつく俺の惨状に気づく。


「取り損ねたんか?」


静真ぁ、呆れたように呟いてるけどなぁ。お前の弟が……

いや、ここは冷静に、冷静に……


「大地ぃ、……外角低めのストレートってサインだしただろぅ。今、投げたの外に変化したぞ?!」


無理に捕球したせいで、手が痛ぇんだけど。


「ふふん、すごいじゃろ」

「すごいとかそういうことじゃねえ!」


褒めてねえのに、うれしそうな顔をすんなよぉ。確かに、ちょっとすごかったけどさぁ。


「……なんだ?あの速さで曲がった?」

「うそだろ。今のが変化球?」

「弟、まじで静真と同じ……、いや、もしかしたら、速さなら静真より速い?」


先輩たちがどよめいているが、今の球を褒めないでやってほしい。大地が調子に乗る。


「大地は、最近、変化球にはまっとるからのう。投げたかったんじゃろ」


静真、兄として大地に言うことあるだろ。大地の気持ちを代弁するんじゃなくてさぁ。


「サイン無視して変化球はやめろ。俺はそこまで器用じゃねえんだよ」


大地にははっきり言わないとな。オレは静真と違って甘くない。厳しくいくからな。


「久慈は我がままじゃのう」

「……大地、お前っ……」


大地のキャッチャーが務まる気がしねえ。


「じゃあ、大地、今度は内角低めにツーシームじゃ」


静真がバットを大きく振って、大地を挑発?する。


「内角低めのツーシームじゃな。すごいの投げたる」


静真のいうことは、素直に聞くんだよな。

大地がグラブを引き寄せ、踏み込む。

内角低めのツーシーム。

カキンと音がして、ボールが弧を描いて飛んでいく。


「ああ!何で打つんじゃ」


飛んでいったボールの軌跡を目で追いながら大地が不満を口にする。


「打つじゃろ。要求通りに球が飛んで来たら」


涼しい顔で静真が一塁に走っていく。

なんだろうな。この兄弟……


「久慈がキャッチャーだと調子でんの」


ふてくされた大地が、オレのせいにしてくる。

オレのせいじゃないだろぉ。絶対にぃ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ