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兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第一章

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中学      【不動静真視点】

●不動 静真 中2



大地が春から中学生になった。

そうはいっても、地元の公立中学じゃけえ、顔ぶれは小学生の時と変わらんからのう。大地に変化はない。

変わったことといえば、湖のほとりにある中学の校舎は気に入ったようで、放課後、辰海とぶらついていたりしてるくらいじゃのう。

生徒数の少ない学校じゃけえ、のんびりしとる。


「静真く~ん!」


クラスメイトが、廊下の端で手を振っている。


「弟さんが~!」


大地が来てからは、のんびりはできんようじゃのう。



×○×○×○×


職員室に行くと、気まずそうな大地と目が合う。


「兄ちゃん、なんで来るんじゃ。男同士のごろまきじゃ。けりは自分たちでつける」

「そういうわけにもいかんのじゃ。相手、怪我したんじゃろ?」


大地の喧嘩相手の金囲に視線を向けると、やはり気まずそうに顔を背ける。


「怪我なんぞさせとらん。ちぃーっと撫でたらアオヂになった程度のことじゃ」

「そうなんか?」

「……そうだよ」


ぶっきらぼうだが金囲はオレには態度悪くないんじゃけどのう。大地と相性が悪いんかのう。しょっちゅう喧嘩しとる。


「先生ぇ!警察!警察を呼んでぇ!もう、今日という今日は許しません!!」


金囲の横で声を張り上げているのは、おなじみの金囲の母親じゃ。


「ええ年して、親に泣きつかんと尻もぬぐえんのか。なさけないのぅ」


大地の蔑みの言葉に、金囲の顔が赤くなる。


「来るんじゃねえって言ってんだろ!とっとと帰れよ!男の喧嘩にしゃしゃり出てくんな!」

「玲央ちゃん!?何でそんなこと言うのぉ!玲央ちゃんのためにぃ」


子離れできん母親じゃのう。

過保護な母親といると、金囲のような男はうっぷんが溜まっていくじゃろうな。それで大地に当たるのは筋違いじゃけどのう。


「まあまあ、金囲くんのお母さん。先に手を出したのは金囲くんたちということもありますし、今回は、喧嘩両成敗ということで」


中学の教師も事なかれ主義みたいじゃのう。

大事にせんでくれたほうが助かるけど、金囲の母親が問題じゃ。



~☀~


軽い説教だけで解放され、職員室を出る。

今回は警察沙汰になることもなく穏便にすんだが、これから先も、そうとは限らない。

大地に釘を刺しとかんとのう。


「中学生になると、小学生の時のように世間は甘くしてくれんけえ、むやみに手ぇ出したらあかんぞ。自分を守る時以外は、相手の挑発に乗らんようにな」

「……わかっとる。……次は足使うけえ」


余計な付け足しがあるの。


「大地、本当にわかっとるんか?」

「……わかっとる」


困ったもんじゃのう。

中学生になって、大地も背が伸びて、少しは大人になってきたように思っとったんじゃけど。

大地は変わらんが、でも……


「金囲が母親に楯突いたのには驚いたのう。反抗期に入ったんか?中学生じゃものなあ」

「かねい?」


大地、喧嘩相手の名前、覚えとらんのか……

興味がない者は覚えんからのう。大地の目に金囲は映っとらんのじゃろう。

大地は金囲に興味ないけえ、金囲が落ち着いてくれたら揉め事もなくなるんじゃけどのう。

反抗期の間は難しいか。

……反抗期か。大地もそのうち……


「大地もそろそろ反抗期になるんかのう」


覚悟せんとなぁ。


「安心してええ。ワシはずっと反抗して生きとる」


なんで大地は得意気なんじゃ。


「なにを安心したらええんかわからんが、それもそうじゃのう」


生まれてこの方、大地が大人しくしとったことなんぞないのう。

反抗期関係なく、揉め事は終わらん言うことじゃろうか……


「大地ー!静真兄ーちゃん!」


校舎を出たところで、辰海の声が響き渡る。

久慈もおる。待たせてしまったようじゃのう。


「岩ちゃんと小布ちゃんもいるから、3on3やろー」


岩泉先輩と小布施先輩もおるんか。

試してみたいことあったけえ、丁度ええのう。

大地はまだ12才じゃけえ、“ゴールデンエイジ”ではあるけどのう。そろそろ13~15歳の“ポストゴールデンエイジ”用のトレーニングも取り入れたい思うとったとこじゃ。

ゴールデンエイジで身に付けた能力をさらに磨き上げる。実践で。

それには、身体能力の高い岩泉先輩と小布施先輩を交えた動きというのが、ええ練習になる。


「静真がなんか企んでる顔してるぞ」


オレと目が合った小布施先輩が揶揄う。


「怖えぇ。静真対オレたちでチーム組むか?」


岩泉先輩まで、乗っからんでも。


「いくらなんでも、冗談が過ぎます」


大地も辰海もええ動きするようになってきたけえ、6人の力の差が縮んできとるからのう。もう、オレが入ったほうが勝ついうことも難しくなっとる。

みんな成長しとるんじゃなぁ。


「静真が笑みを浮かべてるぞ!」

「怖えぇぇ」


……先輩たち、遠慮はいらなそうじゃのぅ。


「さあ、やりましょうか」



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