出会いは突然に
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とりあえず、砂埃が立っている方向へ走り出してみる。
すると、思ったとおり体が軽い。1階登るだけでもエレベーターを使っていたインドア系人間の体力とは思えない。おそらく100メートル5秒くらいで走り抜けているように思う。
このまま人にぶつかったら重過失致死になる勢いだ。しかも、ちっとも息が乱れない。
ただ、裁判官には全く無駄な機能だ。同僚は、いくつもの調停室を元気に駆け回っていたが、100メートル5秒で庁内を走られたら迷惑だし、俺は家事調停やったことがないからな。
自身の身体機能について考察しながら走っていると、砂埃の様子が具体的に見えてくる。
どうやら何かに追われた馬車が砂埃を上げているようだ。御者台の女性が慌てた様子で、馬を操っている。 馬車の後方から、猪に牙が生えたような動物(異世界なら、モンスターだろうか…)が、よだれをたらしながら、追い駆けてくる。
「助けるべきだろうか..」 俺は、助けられるかどうかではなく、助けるか否かだけを思考した。魔法と身体機能の考察から、異世界転生の定番、俺TUEEEを確信したからだ。
こういう場合、あの女性を助けなければ話が進まないから、俺にはモンスターを圧倒できるだけの力が備わっているはずだ。
心配すべきは狩猟法違反で捕まらないかということだが、間違っても、「もま」だと思っていたとは言ってはいけない、「むじな」だと思っていたと言わなくては。
まあ、どこからどう見てもたぬきにも、むささびにも見えないが、うちの村ではそうなのだと言い張ればなんとかなるだろう。それ以前に、馬車の世界に法律はあるのか?
おっと、考えているうちに、馬車とモンスターは目の前だ。
俺は、手に持った杖を目の前に突き出すと、迷わず叫んだ。
「メ〇ミ!」
馬車の正面に立ちつつ、モンスターに照準を合わせた俺は…
「危な~い!?」
御者台の女性の叫び声を聞きながら、 そのまま馬車に跳ね飛ばされた。
俺は、呪文を叫んでも何も出てこなかった杖を抱えて、10メートルほど上空を浮遊する。
そうだよね、 証人テストを経ない主尋問がグダグダなように、 試してもいない攻撃魔法が即座に打てるとは限らない。安全策で中級魔法にしたが、上級魔法にすべきだったか。
そもそも、馬車の進行方向に立つべきではなかったのでは、という反対尋問は届かないまま、空中に放り出された俺が考察を繰り広げていると、ちょうど俺の落ちようとしている真下にモンスターが口を開けて待っている。
どうやら標的を馬車から、 アホな俺に切り替えたらしい。
さて、魔法が使えないとすると、どうすべきか…
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次話が短いので、連続投稿にしてみました。