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裁判官がもし異世界に転生したら  作者: のりまき
帝都編
29/31

相手を殴っていいのは、殴られる覚悟がある奴だけ

あと2話!

おかげさまで昨日、最多PVを更新しまして、その数「99」でした。

九法くんにはちょうどいい数字かなと思います。

次回のお話でラストです。

まだまだ足りないところも多いが、一応の統治制度に目処が立ち、

一息ついたところに急使が立つ。


国境付近の村から来た者から、村の近くに隣国の兵が集まっているのを見たとの報告がされた。


裁判制度普及の副次効果で、国民意識が醸成されたようで、このような情報が自主的にもたらされるようになったのだ。


ちなみに、ロウが帝王になってから20年は経つが、戦争は初めてのようだ。そりゃそうだ、ロウは国対国の戦争に興味はなさそうだし、向こうにとって稀人であるロウの国に攻め込むのはデメリットしかない。なぜ隣国が開戦を望むのかは解らないが、仕掛けられた以上、応じるほかあるまい。


犠牲をおそれて、というかそれで必要十分、過剰戦力なのだが、ロウと俺の二人で、隣国の兵が結集しているという国境に赴く。なお、俺は単なるお目付け役で、戦力とは数えていない。


ちなみにロウと戦争に行くと言ったら、レイアが花咲く笑顔で送り出してくれた。信頼の証しだとはわかるんだけど、少しくらい心配そうな表情をしてもいいんじゃないかしら。


さて、国境に着くと、集まった隣国の兵士は5000人はいるだろうか。負けはしないだろうが、それだけいると時間がかかりそうだ。


そこで、初手でロウを敵戦力の中心に飛び込ませる。それだけで相手は大パニックだ。


俺も後に続き、


「国へ帰るんだな。お前にも家族がいるだろう。」


と声をかけ、戦意を失った者を気絶させていく。戦争とはいえ、無意味に死なせて家族を悲しませない方がいいからな。


ロウにとっては気を失った者を一方的にいたぶっても面白くないから、それでもなお戦意を失わない者だけを相手にする。


といっても100いるかいないかというところだから、一瞬で形がついた。ホントに、隣国は何を考えて戦争を仕掛けてきたのだろうか。


戦闘が終われば、そのまま終戦交渉だ。日を改めて外交官を派遣するのが通常だろうが、勢いのまま講和を結んでしまおう。


問題は、向こうの指揮官に講和条約締結の権限があるかどうかだが、

「本国に戻って、首脳陣にうんと言わせなければ、ロウをこのまま送り込むぞ。」

と脅したら、くるみ割り人形のように口をパカパカさせていたので、了承の意と取った。残念ながら、彼に選択肢はほぼない。


ちなみに俺は国際公法は選択しなかったが(ウィーン条約という名の条約、多過ぎ)、まあなんとかなるだろう。ただ、世界人権宣言の成り立ちや内容を学んでおくと、個人的にはSDGsよりためになると思う。これが70年も前に作られたというのだから驚きだ。前文和約は、日本国憲法と同様どころかそれ以上に長ったらしいが…


話を戻すと、こちらは何も求めるものがないので、相手の方から講和条件を提案させることにした。相手が紙にまとめて提示してきた内容は、隣国の領土1割を我が国へ割譲し、年間予算1割を5年間にわたって賠償するというものだった。土地がありすぎても、貧困で難民が流れ込んでも困るから、妥当なところだろう。


講和条件が書かれた紙を俺が確認し、ロウに渡す。


奴がそのままサインしようとすると…

紙が変な光を発し始めた。


(こいつはヤバイ!)


反射的に、ロウを突き飛ばす。


「いきなりどうした?」


慌てて全力で突き飛ばしたのに、ケガもせずキョトンとした顔で、ロウがこちらに尋ねてくる。


「目の前の紙が光っているだろう。見えないのか?」


「いや。何も。」


その答えを受けて、俺が講話文書を解析すると、どうやら稀人の能力を封印する力が備わっているらしい。


頭に、「やべ、作ったの忘れてた。」と、電波青年の声が聞こえる。あいつ、一発殴る。そして、俺が死刑にならないやつのために開発した、死んだほうがましだと思えるくらいの拷問に処してやる(憲法違反だから、良い子のみんなはマネしないように)。


ロウは、魔法が効かないが、神の力は別だ。しかも、ロウは、魔法が効かない代わりに使えもしないから、神の力が発動してもそれが見えない。だから、気付かずにサインして、神の力が発動していた可能性は高かったはずだ。


頭を押さえれば、力が物言う国といえど、烏合の衆。一戦あえて負ければ、あとはゆっくり攻め込むだけで国が丸々手に入るという寸法だ。


だが、ここには俺がいた。


よかった、もうあいつ一人でいいんじゃないかなと戦場に放り込まなくて。


相手国の指揮官を脅して、新しい講和文書を用意させる。再度、安全のために確認してから、ロウにサインさせようとすると、おもむろに奴が口を開いた。


「いい機会だ、お前が帝王をやれ。」


とビックリ発言。


だが、突然のように見えるが、ロウにとって帝王の地位に未練はなく、ただ戦えればよいのだから、俺が現れてからはその機会をうかがっていたのだろう。クリミアも、ロウに憧れて首相の座に就いたから、帝王の地位に興味はないはずだ。そうすると、自然とその地位を継ぐのは俺になる。


「ふぅ、わかったよ。」


かなり国の中枢に関わっていた俺は途中で投げ出すわけにもいかず、ロウから地位を譲り受け、新帝王として講和文書にサインした。こんな口頭のやり取りで主権が移譲できるのかは疑問だし、公法に責問権の放棄が適用されるかもわからんが、誰も文句言わないだろうし、文句言われたらぶん殴ればいいだろう。だいぶ、俺もこっちの世界に毒されてきたようだ。


ただ、レイアとクリミアには後で説明しとかないとな。


ちなみに相手国の指揮官は、後で領土を取り返すつもりだったためか、涙目だ。まあ、相手を殴っていいのは、殴られる覚悟がある奴だけ、まさに自業自得だな。


公法は、あまり触ってないので今回の設定は適当です(笑)

終盤が駆け足になってしまいましたが、次話で締めたいと思います。

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