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裁判官がもし異世界に転生したら  作者: のりまき
帝都編
20/31

邂逅一番

サブタイトルは、前回に引き続き。

一応バトルものなのですが、らしくなっているでしょうか。

扉から入ると、髭を生やしたライオンのような大男に対し、こちらも負けじと向かい合うように、巨漢の筋肉達磨が立っていた。


陳情するなら、ここが謁見室のはずだが、

周りはすり鉢状の観客席、地面は砂地で、まるで闘技場のようだ。


いきなり、筋肉達磨がライオンに向かって走り出すと、そのまま殴りかかる。顔面に右ストレートが突き刺さるが、ライオンはびくともしない。ライオンは悠然と拳を振り上げると、それを一閃。優に100キロは超えていそうな筋肉達磨が壁まですっ飛んでいくと、ドゴーンと先ほど聞いたような音が鳴り響く。


「なかなか良かったぞ。ランクBだな。陳情はなんだ?」


ライオンが筋肉達磨に声をかけると、


「はっ。我が町に灌漑の許可と予算を。」


よろよろになりながらも、姿勢を正した筋肉達磨が声を上げる。


「よし、クリミア、後は任せた。手当てとその後の処理をしてやれ。」


「アイアイさー」


ライオンの後ろに控えていた、こちらは正真正銘のケモ耳をつけた女性が、筋肉達磨を引きずっていく。


「これはなんなんだ?陳情だよな。」


一連の経過を見ても、さっぱり何をしているかわからなかった俺は、呆然として呟く。


「ええ、そうよ。陳情者がロウ様に挑戦して、陳情を聞いてもらうの。もちろん勝つ事はできないけれど、実力に応じて陳情を叶えてもらえるの。」


レイアは、俺の呟きにそう答える。


どうやら、あのライオンがロウという奴らしいが、正に世紀末らしい問題解決の仕方だ。言葉通りの実力社会では理屈が通っているのかもしれないが…


日本の常識とのあまりの違いに唖然としていた俺に対し、ライオン改めロウがこちらに気付き、声を掛けてくる。


「お前がレイアの連れてきた稀人か?」


それに対し、


「ああ、そうだが…」


と、答えた途端、目の前にライオンの顔があった。5メートルはあったというのに、一瞬でその距離を詰めてきたらしい。


俺が何も反応できないでいると、


「ふっ」


息を吐くのと同時にロウが、俺に殴りかかる。俺はなすすべなく吹き飛ばされて、壁に叩きつけられる。


「ガッ」


あまりの衝撃に血の混じった息が漏れる。俺が何をしたっていうんだ?


「稀人なら、これくらいで倒れんだろ。オレを楽しませてくれよ。」


奴が楽しそうに呟く。


話は変わるが、俺には嫌いな人種がいくつかいる。


特に礼儀知らずな奴と暴力に訴えかける奴は嫌いだ。そういう奴らは大体トラブルを起こして、俺の仕事を無駄に増やしやがる。名乗りもせずにいきなり殴りかかってきたあいつはダブルで糞食らえだ。


さすがに日本で殴られることはなかったが(刺されはしたが)、準備書面ができていないから期日を延期してほしいと、いけしゃあしゃあと三回も言ってきた弁護士以来の怒髪天だぜ。


そっちがその気なら、こっちもやってやろうじゃねえか!正当防衛だ。


喧嘩闘争では、という反対尋問はまたしても九法正義の耳には届かない。


「まず名乗るのが礼儀だろうが!お前が泣くまで殴る。」


俺は、猛然とロウに立ち向かって行った。



みんな、期限は守ろう。

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