スライムさんはやってきた
いきなりの閃光が眩しすぎて、咄嗟に目を瞑った。しばらくして目を開けてみると...
あら不思議!森ですわ!
ゲフンゲフン。申し訳ない、少し取り乱してしまったようだ。一瞬で森に居たんだ。誰だってそうなる。そういうことにしとこう。
まぁとりあえずよかったのは、森といってもアマゾンとかのジャングルではないということか。まぁよくある森林というところか。
ぱっと見で異世界といったら動く植物とかいうのは見当たらない。
まずは体の確認か、多分今日だが龍型のスライムになったというようなとこか。
あれだ、体が長いタイプの龍じゃなくて4本脚で歩くタイプだ。微妙に違和感を感じるだけで、体は問題なく動かせる。
ふぅ〜...みなさん、お待ちかねの翼でございます。そう翼です。
「ゴッ!ゴア!ゴアア!」
悲しきかな、翼は動くが飛ぶ事ができない。というかスライムって筋肉ないのに動くってどうなのよ。
まぁそこは異世界パワーということで...
あ、気付いた?そう声がゴアゴアになっている。え?なんで?あの空間じゃ普通に喋れたのよね?というか声帯無いよね!なんで鳴けるの!?という一悶着あったのは置いといて
..ォォン..
やばい、ここ森だったわ。いるよねぇ狼、見つかる前に逃げるかぁ。テンプレよろしく、初エンカウントがLv1の魔物と決まった訳ではないし、慎重にいなければ。
俺は元人間だ。考える力は持っている。生き残るためにすべき行動を。
俺は魔物になった。スライムではあるがこの世界の人種が魔物とどう接しているか分からないうちはむやみに近寄らない方がいいだろう。
万が一魔物は見つけ次第即討伐、とかなら一瞬でTheENDだ。
ならば、自分のレベル上げを優先して情報収集をすべきだな。
思い立ったが吉日、すぐに行動しなくては。まずは水場を探すか。水を飲むために魔物達が集まって来るだろう。その中でレベル1を探してデストロイだ。
まず水場を探すために川が流れてないか、耳を澄ませる。
...ビンゴだ!右方向の少し先に川が流れている。行くか。
水の音を頼りに森の中を進んで行く。途中で自分よりもレベルが高い魔物にエンカウントしたら終わりなので慎重に行く。
体が小さくなったおかげで足音は極力消せているはずだ。
しばらく進んでいくと、木々の間から川が見え始めた。
「ゴァ!ゴァア!」(よし!やったぞ!)
川を見つけた安心感で俺は先程までの慎重さを忘れ、走ってしまう。
「ギィィ」
「ギィ、ギィイ」
「っ?!」
危ないところだった。川を挟んで反対側で二匹のゴブリンらしき魔物が水浴びをしていた。幸いまだ見つかっていない。
二匹は辛うじて局部が隠れるであろう程の腰巻をしていて、錆びた剣を岸に置いている。
本能で感じる、あれは今は勝てない。逃げるんだと
「ギチギチッ」
後ろ!?っっっヤバい!!
気配を感じた瞬間考えるよりも先に横に転がっていた。
刹那、先程まで俺がいたところに馬鹿でかい口を開けたミミズが通過して行った。
慌てて横に転がりながら流し目で後ろからきたのを確認する。
体はゴブリンと同じくらいの大きさだが、口が俺を丸呑みできるほどの大きさだ。
「ギチギチ!」
「ギィィ!!」
「ギィ!」
当然ゴブリン達も気づいて剣を持ってこちらに来ていた。目の前のミミズはバカでかい口を開けたままこっちを向いている。
考えろ。どうしたら生き残れる。幸いミミズは勝てない相手じゃないと思う。直感だが。どうする?
『スキル思考の熟練度が一定を越えました。スキルが進化します。スキル高速思考を獲得しました。』
時間がゆっくり進む感覚がする。ゾーンってやつに入ったか?
まぁそんな事は今はどうでもいい。
スキル、...ブレスがあったじゃないか!でも威力は?範囲は?レッサーがついているんだぞ、だが...
考えてる暇はない...何が最適解だ。ミミズは正面、さっきは右横に転んだからゴブリンは右前方ならば!
俺は左に転がる。位置的にはミミズの後ろにゴブリンが来るように。俺は息を大きく吸い込み、吐き出す!
「ゴァアアアアアアア!!!!!」(劣龍息吹!!!!!)
「ギtっ」
「ギイ?!gっ」
「ギィっ」
空気は、魔力を纏い、道を塞ぐものを良しとせず、破壊しながら突き進む。
『レベルが4上がりました。スキル観察が一定の熟練度を越えました。スキルが進化します。スキル観察眼を獲得しました。』
俺の放ったブレスは一直線に進み、川を挟んで反対側の森に消えて行った。
「ゴォゥ...」(おぅ...)
強すぎんだろ。劣とはなんぞや。というかなんで空気に魔力が纏わりついたのがわかったんだ?
待てよ魔力...そういえば龍に名前つけて貰った時に魔力が増えたみたいなのが聞こえた気がする。
ブレスは魔力によって強さが変わる...?
まぁ色々疑問は残ったが、取り敢えず移動するか。さっきの騒ぎで違う魔物がよってきたら確実にやばい。
感想評価をK.U.D.A.S.A.I






