第5話「夢と現実」
しかしすぐに現実で何か変わるワケでもなかった。
長谷川さんとはいつものようにコンビニで会って勘定を済ませて終わる。
彼女は無表情のままだし、薬指に輝く指輪も無意識に目に入る。
「ねぇ」
気がつけば職場にいた。
「ねぇってば!」
目の間に利用者さんがいる現実と向き合う。
「ご飯はまだなの?」
「え? はい。もう少しお待ちください……」
利用者さんの大城戸さんだ。彼女はとても肥満な体型でありながらも、空腹に悩まされる事が多く随時こうした事で俺達スタッフに歩み寄ってくる。
「ねぇ」
「はい」
「あなた、どこ見ているの?」
「大城戸さんですよ?」
「違う。あなたは夢をみている」
ハッとした。閉じていた目を開けると自宅ベッドで横になっていた。あの時、たしか職員のアームイに「ダテサン、ボットシテイルヨ!」とか注意を受けて、しょぼくれた記憶が蘇った。そこでスマホが鳴る。アラームじゃない。ニュース速報だ。
「回線が開放?」
日本の大手通信会社が中国の大手通信会社と歩み寄りを深め、中国側から通信電力の供給を為してくれるとの事。期間限定の大盤振る舞いのようだが、背景に日本と中国の政治的対話の進捗がみられたかららしい。
すぐにパソコンを起動させる。
そこで俺が触れた世界はここ何年も忘れていたものだった――
俺は無我夢中でGoogleから世界を検索でまわってみせた。何年も忘れていた感触。そこに溺れそうになったところでメールメッセージが何通か届く。
親友の悟とかつて彼と共に絡んでいた高木玲という先輩友達から――
∀・)お久しぶりです!久々に更新できそうです!