表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

第1話「変わりきってしまった世界と俺」

挿絵(By みてみん)



 スマホのアラームが鳴る。



 寝ぼけている俺はそれを手に取った。可笑しいなぁ。今日は休みだからセットなんてしてない筈なのに。



 俺は気がつけば40になっていた。2025年、世界は目まぐるしく変わっていた。世界の経済大国も軍事大国もアメリカから中国、インド、ロシアらがその覇者となった。いまでは世界通貨はドルから人民元もしくはルピーに替わりつつある。日本からそういった国々へ出稼ぎにいく若者も少なくはない。



 新聞とテレビのニュースに目を通して煙草の箱が空っぽになっているのを確認する。



「あぁ~だるいなぁ」



 俺はそのまま着替えて最寄りのコンビニに行くことにした。




 居た。今日も居た。俺を振った女。



「566円になります」



 ポケットに手を入れる。カードもとい財布を忘れていることに気がついた。



「すいません。また来ます」

「はい」




 あのクリスマスの1シーンは何だったのかというぐらいに彼女は他人になっていた。このコンビニに通い続けている俺も俺で何かおかしい気がするが、このコンビニで働き続ける彼女も彼女でどうかしていると想ってしまう。



 あの夜、俺は確かに彼女を口説いた。そして彼女と連絡先を交換した。



 再びコンビニに寄る。彼女はもういなくなっていた。退勤したのかな。あまり日本語が通じないスリランカ系の店員が俺の対応をしてくれた。




 あと5年もすれば激動と言われた2020年代も終わる。いや、5年もあると思ったほうがいいのか? 煙草を吹かしながら物想いに耽る。趣味でやっていた漫才活動は相方が家族と中国へ渡ってしまい、事実上の解散になってしまった。YouTubeも仕組みが変わり、正真正銘の金持ちの道楽と化した今では俺が動画投稿をする事も出来ないし、動画観放題な生活もあっという間に一変した。



 いま、俺にとってあるのはしょうもなくなってしまった島国のなかで生きてくこの身近な生活だ――



 パソコンを作動させる。なかなかネットに繋がらない。こうした事はごく一般では珍しくない日常茶飯事の光景だが、どうしてもイライラしてしまうのもまた庶民の感情なのだろう。



「動け! 動け!」



 俺はちょっとパソコンを叩いてみせたが、今日はどうにもならないみたいだ。



 諦めて旧式のワードを開き、趣味の小説の続きを書くことにした――



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いったいクリスマスの彼女に何があったのでしょう。 自分から連絡先を交換しようと言ったのに。 そして今も続く店員と客としてのやり取り……彼女はなぜ今もこのコンビニにいるのかしら。ฅ(º ロ …
[一言] み、未来篇! こちらが本編でしたか! にしても……なんて世知辛い(゜Д゜;)
[良い点] おおっ、何やらディストピアな世界観ですね! 趣味の小説の内容が気になります( *´艸`)
2022/07/24 02:03 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ