EPILOGUE:今日もあなたに会いにコンビニまでやって来ました!
2025年、12月24日。クリスマス・イヴ。元々日本の文化でもないこの日に日本人ははしゃいでいる。ちょっと歩けばこのイベント絡みの装飾物を目にする。そして「今年もあと少しだなぁ」と独り言をボソっと残す。
コンビニの店員さんもトナカイやサンタの格好をする。
「いらっしゃいませ!」
長谷川さんはトナカイの格好だ。
「999円になります!」
財布をとりだす。財布にはナナコがなかった。お札もなかった。
そして998円までしかなかった。
「あの、保留して貰っていいですか?」
「はい! とっておきますね!」
「あの、トナカイのコスプレ似合っていますね」
「ふふ、ありがとう」
俺はゆっくりATMへ歩く。そしてお金をおろして支払いを済ませた。なんか見覚えのある光景だ。こういうのをデジャブっていうのかな。
コンビニを出る。
「伊達さん!」
すぐ後ろから声がした。聴き馴染みのある声。
「お忘れ物です!」
やっぱり美人な店員の長谷川さんだったな。彼女が手にしていたのはナナコと俺の運転免許証だった。
「えっ?」
俺の頬に彼女の唇が触れた。
「メリークリスマス。素敵な1日を」
え? 待て。待て。これはどういう展開? 俺のなかで何かが爆発しそうだぞ?
「いつも店に来てくれているお礼です。勘違いしないでね?」
頬を赤らめて走り去った彼女は今まで見たことない彼女だった。
しかし家に帰ってみて現実を知る。俺は彼女からブロックされたままだ。全くあの女、思わせぶりなことをしやがって……。
俺は今でも小説を書いている。そして回線が繋がった時に作品を投稿サイトへ投稿し続けている。
かつて総合ランキング1位を獲っていた俺の手腕は影すら失っていた。
でも俺だから書ける物語はまだまだいくらでもある。
気になる彼女だって今尚もあのコンビニで働いている。
そして俺も懲りずにあのコンビニへ通い続けている。
続いているのだ。俺の物語も。彼女の物語も。俺と彼女の物語も。
この物語の結末がみえるのはまだまだ先になりそうだ――
∀・)はい(笑)だまし討ちでした(笑)ははは(笑)しかし美佳さん、思わせぶりですね(笑)彼女のキスの意味は読者の皆様の想像にお任せします。最後の最後までお付き合いいただきありがとうございました♪♪♪