表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

第8話  13歳を泣かす21歳.......

「あなたが先生というの分かりました。ところで先生、」


「先生ではない」


「えっ....」


「俺のことは師匠と呼ぶように!!」




「...............」




一瞬の間が開く。


「はあ.......師匠....」


「なんか急にやる気になってくれたみたいね。良かったわ」


梅は少し嬉しそうにそう言った。


まあ、これはいわゆる気まぐれというか..暇つぶしなんだがな。



「それで師匠!!さっそく私はどうすれば強くなれるのか教えてください!!」



大きな丸い目をしっかりあけてまっすぐこちらを見る。


懐かしい。


俺の部下達もこんな感じだったっけ、、、


もっと上を目指そう、強くなりたいという意思を彼女から感じた。


そんな目で見られるとこちらもつい期待に応えてしまいたくなる。


「お、いいぞ。よく聞いてくれたな!!」


そしてさっきの2分程度の模擬戦でを見たうえで改善したほうが良いところをたんたんと話し出す。




「まず、彩夏...だっけ?君の名前。彩夏はその年でまだランク1ということはこの先魔術面で強くなるということは相当厳しいといっていいだろう。魔術の修業は続けてもらっても別に構わないがあまり期待しないほうが良いと思うぞ。元の魔力がそもそも無いからそれよりはまず戦うための体作りをした方がまだ現実的だぞ。そんなガリガリの肉体だったら相手の魔術に一発当たっただけでもう終わりだからな。せめて筋トレくらいはしたりしてしっかり体作りをしたほうが良い。魔力の才能が無さそうだから。まだまだあるぞ。彩夏は戦う前にビビっているだろ。さっきの試合もずっと逃げてばっかりだったじゃないか。当たり前だがこれじゃあ勝てるわけがない。戦いなれていないことからくるメンタルの問題も課題の一つだな。それから.....」





話しに夢中でふと彩夏の方に目をやる。


俺の方を見ず、なぜか視線は下を向いていた。


うっ.....うっ.........


と変な音を出し小刻みに震え始める。



「ん?どした???」



それを言ったと同時にその細い太ももに数滴の雫が落ちる。



「うわあああああああああああん!!」



鼓膜が震えるほど翁声で泣き出し立ち上がる。


それは再び俺に敵意をむき出しにし、何か言いたげな顔をしてぐしゃぐしゃになりながら


「何が師匠よ!!バカにするなら帰って!!私はあんたを先生だなんて認めないんだから!!」


そう言い放ち、部屋を飛び出して走り去って行ってしまった。



「.............なんだあいつ?急に.......」



首元に激痛が走る。



「痛ででででで........!?」


梅の方を見るとひとりと一匹が怒った顔で俺を睨んでいた。


「何やってるのあなたは!!」


「痛いって!!何って何が!?!?」


「せっかく生徒のやる気が出ていたところなのに彼女が気にしていることをズケズケと.....骸くんにはデリカシーってものが無いわけ???」


「デリカシーってなんだよ!!俺は本当のことを言っただけだぞ!!」


「にしても言い方ってものがあるでしょ。これから色々と教育していく立場なのに生徒の信頼を失うような発言をしてどうするのよ。見たでしょ。あの子泣いてたわよ。年下の子供を泣かせるとか、一大人としてどうなのよ!!」


「わかった、分ったからまずそれをやめろ!!」


梅の右腕の光が消えていく。


「謝りに行きなさい」


「はあ.....はあ..........は?」


その態度が癇に障ったのかまた右手首を俺に見せてくる。



「んぐっ......分かった分かった...........謝りに行きます!!」



「よろしい、物分かりが良くて助かるわ」


(イヤミ言いやがって........)



「で、あの子はどこに行ったんだ?」


「そんなの知らないわよ。自分で探しなさい」


「えー....分かった。探しに行こう」


そう言って彩夏を見つけに部屋を出ようとする。


早く行かないとまた梅にアレをされそうだからな........


梅を見ると彼女は怖い顔でこう言った。




「ちゃんと謝って、そしてちゃんと許してもらうまで帰ってきちゃだめだからね」




へいへい



「監視としてシャララをつけるわ。今日中にシャララから報告がなかったら問答無用でその首飛ばすからね」


「なんでだよ!!厳しすぎだろそれ!!」


「簡単なことでしょう?幼稚園生でもできることよ」


「...........っ...」


何も言い返せなかったがへいへい分かりましたよとばかりにため息をつき部屋を後にした。


そう遠くへは行っていないはずだが........たしか左に走ったような気がする....


この学院をまだ2部屋しか見学していない俺にとって彼女を見つけることはことは難易度が高いものだった。


まだ昼過ぎくらいだから時間には大分余裕がある。


さっさと見つけてことを済ませないと俺の命が危ない。


俺は命がけの謝罪をしにその校舎を駆けながら彩夏を探し始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ