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第5話  軍事機密

「断るって...あなた自分の立場分かって言ってるの?」


梅は俺の首を見ながらそう言い放った。


「なるほど。俺を蘇生させた理由はよく分かったよ。そして自分の置かれている状況もなんとなくだが理解はした」


「ならどうして....」


俺は喉元をさすりながら冷静に答える。


「軍事機密ってやつだよ。俺の故郷である征帝国は魔術師と呼べる人種が圧倒的に少ない国だったんだ。そんな国があったら真っ先に雷の奴らのように目を付けてくる連中が出てくるだろ。まあ実際そうなって攻めて来られたんだが......んで、そうなってもそいつらに対抗できるように俺たちがあんたの知りたいその技術とやらをを編み出したんだ。その成果はというと......今梅が話した通り上級ランクの魔術師とタイマン張れるくらいの強さだったよ。でもな、この技術を他の国の奴らに見られたらマズイんだ。俺らの戦略と戦術は研究されて対抗策が出てくるかもしれない。もしそうなったら俺等は本当に終わりだったんだ」


「そう、だから.....」


「そう、だから第一に軍の技を見られたら全員殺せ。第二に捕まったら死ねと部下には伝えてきた。まあ、敵の極一部には見られているかもしれないが...細かい仕組みまでは分かっていないだろうから問題ないと思うがね」


「........」


「そしてもう一つ。これが一番問題なんだが、この技術はまねしようと思えば簡単にまね出来てしまうという点があるんだ。そうなったら敵戦力が単純計算して倍増してしまう危険性があるんだ。だからヤバいんだよ。俺は一度は死んだ身.....とはいえ自国を売ったつもりは無い。俺が処刑されることを選んだのも国と姫様を守るためだ。こんな敵か味方かもよく分からん国でしかも全く知らない赤の他人のために国を危険に晒すような真似ができるか!!」


そう言って彼女に檄を飛ばした。


話を聞いた梅はしばらくう~んと深く考え込み


「そうか.....う~ん、、、私そんなつもりは思っていなかったんだけど..........確かにそうね。骸くんがそう考えるのも無理もないと思うわ」


納得してくれたようだ。


そう、俺の生前の行動はすべて生まれ故郷の征帝国とそれを必死に守ろうとしてくれた姫様のため。


俺が情報を漏らさない意思が伝わったのならもう俺に要は無いだろう。


また永い眠りに入るのかな.....そう覚悟した。


「わかった。骸くんの気持ちは理解したわ。骸くんがそこまで言うなら私だって無理強いはしないつもりよ。でも........」


「でも?」


「一度だけ、一度だけでいいから私の生徒を見てくれないかしら.....」


その表情に一瞬、ほんの少しだけだが気持ちが揺らいでしまったような気がした。


微笑みのその奥にどこか哀しい思いと絶対に譲れない信念がある。


生前俺が最も尽くしてきたあの人とどこかが重なって見えてしまったのだ。


「..........まあ、ただ見るだけなら」


ぶっきらぼうにそう答えると彼女は少し嬉しそうに内ポケットからガラケーサイズのリモコンを取り出した。


左の袖をめくり腕時計を確認する。


「あっ、もう始まっちゃってる」


そう言って慌ててスイッチを押した。


何もない空間から85インチほどのモニターがニュッと現れそこに映し出される。


出てきたのは二人の魔術師で片方はランク1、もう片方はランク2のようだ。


そしてその二人は.......なぜか分からないが鬼ごっこをしていた。


広大な砂浜をランク1の魔術師が涙を流し『うわあああああ!!』と奇声をあげながら逃げ、ランク2のほうは右手に刀をブンブン振り回しながら追いかける。


「.........................なんだこりゃ....」


状況が全く分からない俺に梅はひとことこういった。


「一応.....模擬戦ということになっているわね」


「.............はあ、、、、」

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