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第3話  蘇生と制約

「さてと、自分の状況が理解できた?」


ニヤニヤとした煽り顔で話し出す。


ふざけた奴だ。しかし........




「ああ、よくわかったよ」



つまり.......




「こういうことなんだな!!」



俺は拳を強く握りしめつま先でベッド台座を蹴り飛ばし魔術師の顔面に飛び掛かる。



「あぶない!!」



俺の反応に一早く気が付いた使い魔が梅の体を突き飛ばす。



「きゃあっ」


卓上の書類が吹き飛び、梅の後ろの窓ガラスが割れる。


勢い良く突き出した拳はギリギリ頬をかすり、皮一枚を切る程度で空振りした。



「....外したか。反応良いじゃねえか。おい、女。今の状況がどうだとか言ってたな」



地面に横たわる魔術師を見下ろし追撃のための拳を再度握りしめる。


「つまり今の俺のご主人様であるお前をブチ殺せば....俺は自由の身になれるわけだ!!」


そう言い放ち梅の息の根を止めようと飛び掛かろうとした。


......が,そうはいかなかった。


忘れていたわけではない....が、こんなに早く発動するとは思わなかったのだ。


俺の首元にあの尋常でない激痛が走る。


「熱っ...痛たたたた....!!痛い痛い痛い痛い痛い!!」



それが来る前に奴を仕留めようと思ったが.....甘かった。


「本当にこいつ......噂以上に危険な奴だわ」


ブレスレットを光らせながら奴が立ち上がってくる。


そして俺に殺意の目が向けられる。


「ぢ...ぢ.....血ででまずっで.....じぬじぬじぬ.......」


「本当に分かった?じ・ぶ・ん・の・た・ち・ば・が」


「はい、ずいまぜん、分かりました。本当に分かりましたから......」



俺の生前でも無かった命乞いが通じたのか激痛が和らいでくる。


「いい?、次私の許可無しに行動したり危害を加えようとしたらマジで殺すから」


「Yes my lord!!」


「宜しい。というか今あなたの攻撃が私に当たっていたらあなたも死んでいたんだからね」


「は?一体どういう意味だ?」


「骸くんの体の生命力は私の魔力で動かしているのよ」


「何?.......ということは....」


「そう、私が死ねば骸くんに魔力が供給できなくなってそうなったら貴女の名前のとおり再び骸くんは骸に戻ってしまうわけよ」



..............!!


なんてこった!!ってことは本当に俺が生きるも死ぬもこの女次第ってわけかよ!!


「待て待て、ということはもしも梅が明日交通事故にでもあって死んだとしたら?」


「まあ、骸くんも死ぬわね。.......そんなことは万が一にもないと思うけど」



「.........」



「あと移動距離にも制限があるわよ。私から安定して魔力を供給できる距離は大体半径1kmってところかしら。それ以上離れると。私からの魔力が届かなくなって突然首が落ちるから気をつけなさい。離れすぎると首が痛くなってくると思うから大体の距離は分かると思うけど。」


「おいおい、急に知らないルールが出てきすぎだろ!!」


「だから今説明しているじゃない。それと、さっきも言ったけど骸くんの首はいつでも私が切り飛ばすことができるから。今みたいに急に暴れだしたり、学院のものを破壊し始めたり、生徒に手を出したり....あとエッチなこととかもダメだから」


「はあ.....」



「まあ、大人しく私の言うことを聞いてるうちいるうちは何もしないわよ。必要なものがあれば大体のものは準備するし、学院の外には出られないけどある程度は自由にして貰って構わないわ」



話をしながらさっきの騒動でメチャクチャになった紙類をシャララがせっせと片付けている。


「それにしても、蘇生する段階で骸くんの魔力に大幅な制限を付けて蘇生させたのだけれども......その体でもとんでもない強さね」


「制限?」


そういえば思った。


その使い魔が瞬時に気づいたとしてもあの距離で俺の攻撃がかわされるのはおかしい。枷を外した時もそうだった。思ったより力が出ていないような....



「そりゃあ、全盛期の骸くんのまま復活....!!とはいかないわよ」


「どうして?」


「今みたいに暴れられたら困るからよ!!あり余ってるみたいだからもう少し制御しておくんだったわ」


ってことはなんだ。


俺の体は生きていくためには常に梅の魔力が必須で.......


梅が死んでも魔力供給されなくて死。


梅と距離が離れても死。


梅に逆らったら彼女の任意で死。


おまけに力が大幅に制限されているときた。


これって..........完全に詰んでいる..................?


そこまで聞いてふと頭の中にとある疑問が浮かんでくる。



「そこまでしてどうしてわざわざ俺を蘇生させたんだ」


「言っとくけどな。俺をここに呼んだということは傭兵だの殺しだのの依頼だと思うがな....はっきり言って無理だぞ。ここまで制約がついてどうやって依頼をこなすんだ?こんな体で呼び出したところで...俺より強い奴は山ほどいるだろうが!!」


「骸くんじゃないとダメなのよ..........」



彼女は小声でそう言った。

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