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神という名の  作者: クリアノート
3章 生と死
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第42話 久遠の黄昏

「跪け」


邪悪なオーラを放つ旦那がパチンっと指を鳴らすと、あたり一帯とんでもない重力が発生した


「何これ…」


ナツキ達や床に這いつくばり、空で奮闘していたアズ達、司、ヨグソトホートや貪る者の全てが地へと叩きつけられ、城も床だけ残して全て崩壊した


そんな中ただ1人、女将さんだけは涼しい顔で空で佇んでいた


「ほう、この世界にも強き者はいたのだな、嬉しいぞ、我が力を知って絶望しろ!」


こうして、戦いが幕を開けた


神と呼ばれる存在は沢山いる、エデン、ゼウス、弥勒菩薩、ミカエルもその内の1人である


だが、この世界を創造した存在を神と定義するのであれば、ブラフマーただ1人である


ミカエル、人間、虫、草花はブラフマーが生み出したものであり、ブラフマーの子供達であるとも言える


一方、エデンやムツキ、ヒカリを黒く染めた少女〈パンドラ〉はブラフマーが、この世界を守りたい等の意思が分離した存在で、多重人格の1つ、分身と言った方がいいかもしれない


もっともムツキに関しては少しだけ作ったゲームで遊んでみようか、なんて思いから生まれた出来損ないの人格であったのかもしれないが…


1年前、エデンとヒカリは手を繋ぎ、ある情報を得た、創造主は力が膨大になり過ぎ、1年後に別次元の存在へと進化してしまう


そうなると、この世界の管理は出来なくなり、世界が崩壊してしまう


ブラフマーは自らが生み出した子供達に滅びて欲しく無く、後継者を据えて管理させようとしたのである


但し、自らの分身であるエデン達はブラフマーが進化した時点で共に消滅する為、残念ながら後継者はなれない


後継者となる者は、この世界を維持出来るだけの強い意思が必要であり、それを選別する為にブラフマーのいるアストラル界と霊界との中間地点であるエーテル界を作った


創造主だからといって何でも思いどうりに出来る訳ではない、例えば母親が子供を産んで育てたとして、いくら英才教育を施したとしても、思いどうりにならないのと同じで、上手くいかない事も多々あり、それが面白いとも言える


逆に何でも思い通りにいくのであれば、それはつまらないとしか言いようがない


そして後3年で消滅する事が解った時には、早く選抜しなければ、という思いから各世界から強き者をエーテリアに送り出したいという人格が生まれた


霊界で生まれた存在がパンドラであり、その意思を継いでミカエルとベルゼブブがエーテリアで女将さんにその意思を伝えたのである


女将さんはその意思に飲み込まれてなどいない、分かりやすく黒に染まる事で悪役を演じていた


一番強い者に倒される事で、この世界を託すにたる者であると証明しようとしていたのである


だが、正直やり過ぎてしまった


まだ旦那が奥の手を隠している事が解っていたから、奥の手を出したらあっさりと倒されるつもりでいた


その奥の手が、自ら世界を消滅させる技であるとは想像すらしていなかったのである


「この世界では、攻撃する時に言葉を発するのだな」


『三千世界!』


どうやら召喚前の記憶もあるらしく、女将さんの技を旦那が繰り出した


『三千世界!』


女将も同じ技を自らの周りに展開し、全ての光の剣が相殺した


「どれ程の力があるのか、みてみましょうか」


女将さんは雷を伴った青色のオーラを宿す


『三千死界!』


光の剣が旦那を中心に展開された、だか三千世界とは違い、1本1本剣が蒼白くエネルギー量の桁が違うのが一目で分かる


そして放たれた全方位からの致死の刃が旦那を襲う


『ブラックホール!』


旦那は左手にブラックホールを作り、全ての光の剣を吸い込んだ


「お返しだ『ホワイトホール!』」


旦那の前にホワイトホールが出現し、そこから出現した光の剣が女将を襲う


女将は愛刀である白夜に黒い魔力を纏わせて、全ての光の剣を切り裂いた


それに呼応するかの様に、旦那は右手の黒夜叉に魔力を纏わせ、両者は同時に突っ込こみ剣撃を拡げる


「そのブラックホールは何処まで吸い込めるのかしら?」


『完全死界!』


女将が剣撃の最中に、三千死界の百倍の数の光の剣が、旦那と女将を取り囲む


その余りの光景に全ての者が絶句した


次の瞬間、旦那に降り注いだ


旦那はブラックホールを掲げ、吸い込んでいったが、途中で


『ホワイトホール!』


旦那と女将の間にホワイトホールが出現した


パキィィィーン!


出現した瞬間に、女将はホワイトホールを叩き切ったのである


ホワイトホールを作り出した事でブラックホールが吸い込むのが止まった為、残りの剣が全方位から旦那に襲いかかり、旦那がズタボロになっていく


「グハッ!!、お前は…まさか…」


言いかけた途中で、女将の剣が旦那の心臓を貫くと、旦那の邪悪なオーラが消し飛んだ


「馬鹿な人…貴方に倒されて、この世界を託そうとしてたのに…」


寂しげな瞳で呟くと、旦那は女将を抱きしめた


「馬鹿なのはどっちだ?


お前と一緒にいた時が、楽しかった…


お前と一緒にいた時が、大切だった…


お前が居なくなった後、お前との約束だけを頼りに生きてきた…


お前と過ごした日々の記憶が、少しずつ薄れていく事に絶望した…


この世界でお前と再開した時、流れた一雫にどれだけの思いがあったか、お前に分かるか?


お前の居ない世界で、永遠と絶望を味わえというのか?」


優しげな、そして悲しげな表情で女将に問いかけた


女将は少し悲しげな表情を浮かべるだけで、何も言わなかった


「おい、そこの3人娘、このブラックホールに向けて、ゴットイーターを放て!」


ここで使えというのであれば、意味があるはず、と旦那も認めた技を迷わず放つ


『ゴット・イーター!』


放たれた一条の光がブラックホールの剣を貫ぬ…けず、ブラックホールに吸い込まれた


既に限界であったブラックホールは制御を失い、全てを吸い込んでいく


「「「旦那の、あほ〜あほ〜あほ〜!」」」


吸い込まれていくナツキ達の断末魔と共に、エーテリアの全てが飲み込まれた


ブラックホールに吸い込まれる寸前に見えた旦那と女将は、優しく微笑んでいた様に見えた



〜 何も無い白い空間 〜


「クーちゃん、ねえ起きて!」


白い何も無い空間でナツキが目を覚まし、隣にはクーがいたので揺さぶって起こそうとした


「ん〜、あぁナツキちゃん、おはよう」


眠そうに目を擦りながら答えるクー


「ここ何処なの?ムツキちゃんは?」


「見渡す限り何もない…ムツキちゃんも無事だといいけど…」


ナツキが覚えているのはブラックホールに吸い込まれた事位で、ここはその中なのだろうか…と、考えていると目前に光の揺らめきが現れた、その揺らめきは良く見ると人の姿である様にも見える


「良く来たな我が子達よ、私はお前達が言うところのこの世の創造主であり、ブラフマーとも呼ばれている」


ナツキとクーはよく分からない様子でポカンとしている


「お前たちは私の分身であり、最も強き者であったエデンを倒し、私の後継者としてここにいる」


相変わらず意味が分からず硬直している2人

であったが、ナツキが何とか立ち直り質問する


「ムツキ達はどうなったの?」


「エーテル界の全てはブラックホールに飲み込まれ消滅した、又ムツキは私の分身である為、後継者にはなれない」


「え…」


愕然とするナツキとクーであったが、藁にもすがる思いで質問した


「創造主様であれば、どうにか出来ませんか?」


「そうだな…復活や時間を戻すのは不可能だけど、私がこの世界を離れる際、最後の願いとして、あの戦いで消滅した者の転生を願うのであれば叶えられる」


「「お願いします」」


と、即答した


「えと、何故後継者が必要なのですか?」


根本的な事を聞いてみた


「私は力が増大し過ぎた為、もうすぐ高い次元の存在へと進化し、こちらの世界に干渉出来なくなってしまう」


「お前たちの知識でいうと、今まで管理して養殖していた魚が放置されたらどうなるか…」


現世では生命がいる可能性がある星が滅多に無い事からも分かる様に、奇跡と言っていい様な偶然を重ねてしか生命は存在出来ない


この世界は創造主が生命の生まれる環境を整え、維持する事で成り立っている


いい変えると、創造主が魚を養殖している状態と似ているという


「その為、世界を管理する者が必要である、本来であれば1人で十分なのだが、お前たちでは荷が重いと考えたのでな、仲違いの心配も無さそうだし、2人で分担して管理するといい、その為の知識と力は授けてやろう」


2人の体が光り、高次の存在へと変化してゆくのが分かる、だが膨大な知識が流れ込んで来るのに耐えられず、深い眠りについた


〜 1年後 〜


それから1年程の時が過ぎ、ナツキとクーはようやく目覚める事が出来た、ただ、世界を覗くと誰も管理していなかったせいか、かなり荒れており、半分手探りながら忙殺した時を過ごす


更に数年の時が過ぎ、漸く世界は安定し、ナツキとクーも仕事に慣れ、余裕が生まれた


そこで見つけた、巨人に乗り、2振りの剣を扱う獣人を


ここで、ナツキとクーに初めて分体が生まれた、一緒に遊びたいという心の分体である


分体2人は獣人の前に現れた。


「ナ、ナツキちゃん、クーちゃん!」


ムツキは驚き、そして顔をクシャクシャにしながら走って来る


「「ムツキちゃ〜ん!!」」


3人は抱きつき、再会を喜びあった


そして互いに今まで何があったのかを話し、又冒険へと旅立ったのである



〜 時空の狭間 〜


そこは何も存在出来ないはずのブラックホールの中の時空の狭間


だがそこには、白く輝く光の球と、黒く輝く光の球が存在した


その2つの球は、互いに引かれ合って回っていた…


まるで遊んでいるかの様に、クルクルと…


いつまでも…

これにて「神という名の」は完結となります、今まで読んで頂けた方、本当にありがとうございました m(_ _)m



ムツキ:「ねえ、この物語の主人公って本当にナツキちゃん?」


クー:「そういえば、最後旦那と女将にいい所全部持ってかれちゃったよね…苦労して編み出したゴッドイーターなのに…」


ナツキ:「え、いや、その…ほ、ほら第2部では私達活躍するしさ」


クー:「へ?、この話第1部で終わりだよ?」


ナツキ:「え?、だってアストラル界でブラフマーの後を引き継いだ私とクーちゃんが活躍する話だとか、旦那と女将が復活する話だとか、現世でサタンとウリエルが霊界の記憶を持ったまま転生する話とか、色々と構想あったじゃない」


ムツキ:「そう言えば遠い昔、そんな構想あったね、作者が書き始めたばかりのモチベのあった頃に」


クー「感想やご指摘貰って楽しく投稿、なんて夢みたいな事言ってたよね」


ナツキ:「作者のメンタル、ミジンコだからな…」


ムツキ:「ミジンコだよね〜」


ナツキ:「でも、そうすると私達明日から無職だよ?プーだよ?ニートだよ?」


ムツキ:「働いたら負けだ!」


クー:「なんて心に響く名言‼︎」


ナツキ:「ニートでもいいか…3人一緒なら…」

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