第41話 悪夢再び
「ヒカリが落ちたか…」
ディアブロとシエンと戦っている司が、無表情ではあるが、何処か寂しげに呟いた
事前に司が、旦那と同じハーロイーンを使っていたという情報は共有しており、ディアブロとシエンは黒のオーラを纏い接近戦をしていた
司は所々で呪文を唱和しては中断されを繰り返し、劣勢ではあったがディアブロとシエンは押し切れないでいた
先に業を煮やしたのはシエンであった
『プロミネンス!』
武闘会では赤い竜であったが、今回は本体を含めて3体の青い竜となった
「ほう、爆炎の支配者たる俺相手にいい度胸だ!」
『エグゾーダス!』
司も青い炎に包まれ、シエンの3匹の龍と激突、する寸前で司は突如方向を変えてディアブロへと向かった
ディアブロは黒のオーラを全開にして受けたが、耐え切れずに吹き飛び地面に叩きつけられた
更に方向を変えて今後はシエンと激突し、大爆発が起きた
互いにダメージを負うが、司は呪文を唱えてゆき、上空に巨大な魔法陣か7つ描かれてゆく
「不味い、ディアブロあれやるぞ!」
シエンはディアブロの元に行き
『『絶技、暗◯黒龍派!!』』
シエンとディアブロが技を放つと同時に司も呪文を唱え終わった
『ハーロ○ーン!』
巨大な漆黒の竜と、七つの魔法陣か繰り出された破滅光が交錯したのだが、漆黒の竜諸共ディアブロとシエンは消滅した
明暗を分けたのはディアブロが既に満身創痍であったからであろう
〜 その頃、城の地下 〜
「何これ、硬くてビクともしないんだけど」
外で激戦を繰り広げていた頃、女将がいる城の地下に旦那、ナツキ、ムツキ、クーがいた
恐らく女将は城の王座でふんずりかえっているからと、地下から旦那とナツキ達のみ別働隊として攻め入る作戦であった。
半年前から貪る者が総出で穴を掘り続けて、やっと城の地下まで辿り着いたのであるが、城の床が半端なく硬くびくともしない
「大技出して吹っ飛ばす?」
「この狭い閉鎖空間で、もし壊れなかったら、技の威力がそのまま跳ね返って自爆するぞ」
想像しただけで、ゾッとした
「陽炎なら切れないかな〜?」
「嫌よ、もし欠けちゃったらどうすんのよ!」
クーの提案にムツキが猛反対した
「ゆっくりとやってみて、ダメなら諦めるから、ね、お願い!」
ナツキもお願いしてみると、ナツキは渋々試してみた
すると、床は豆腐の様にスッと切れた
「「おお〜」」
「どう、どう、私の剣凄いでしょ、ね、ね!」
床を丸く切り取り除いて城の中に入ると、玉座に肩肘を付いた女将が佇んでいた。
「あらあら、この床を切って入って来るとは思わなかったわ」
女将さんは玉座で足を組んで、肩肘をついて座っていたのだが、ムツキが床に空けた穴から出た旦那がおもむろに女将に問いかけた
「一つ確認させてくれ、お前を倒さないと世界が滅ぶ、それで間違いないのか?」
一瞬考えた女将さんであったが
「そうね、それで間違いないわ」
「お前が考え直してくれるなら、これからずっと、この3人をオモチャにしても構わないのだが、それでもか?」
3人は、はあ?何言ってんの?と驚愕の表情で旦那を見た
少し考え込んだ女将さんであったが
「もう決定事項なのよ、どうしようもないわ」
と、残念そうに答えた
た、助かった〜、と3人は胸を撫で下ろした
「そうか…どうしようもないのか…」
と、旦那は寂しげな表情を浮かべた後、黒の雷を見に纏う
「宿題がきちんと出来ているか、確認しましょうか」
女将さんが旦那に指を刺した時、旦那を除く3人は一斉に退避した
大会最後に島を吹き飛ばしたあの攻撃が来ると踏んだ
『ゼロ!』
女将の指先がわずかに煌く
だが、光は旦那が掌に作り出した黒のオーラに飲まれて消えた
「宿題はやって来たようね」
2人は互いに剣を抜き、お互いにこれが最後の戦いで果てる事を覚悟しているかの様に、鞘を投げ捨てた
そして始まった剣技は、ナツキ達がかろうじて認識出来る程、高速なものであった
互いの事を知り尽くしていたからなのだろうか、見惚れる様な剣撃が繰り返えされ、まるで剣舞を2人が舞って、じゃれているかの様にも見えた
そんな剣撃が暫く続いた後、2人で示し合わせたかの様に同時に距離をとった
城の上空に7重の魔法陣が瞬時に2つ形成され光が放たれた、2つの光は城を貫き女将と旦那を襲う
視認出来ないはずの光であったはずだか、それすら予知していたかの様に2人は上空に手をかざし、光を防いだ
「これならどう?」
女将さんのを中心に12本の光の剣が時計の針の様に現れ、それぞれが切先を旦那へと向け放たれた
旦那は避けたが、剣達は旦那を通り過ぎると、八方に広がりそれぞれが旦那に襲いかかった
旦那は剣に魔力を込めて、光の剣を切り裂き消滅させていく
「フフフッ、流石ね『三千世界!』」
旦那を中心とした10m程を光の剣が埋め尽くす様に現れ、次々と旦那に襲いかかる
旦那は避けるも、捌き切れずにキズが増えていった、このままではゴットイーターを放つ隙すら夢の又夢である
「お前に…お前が好きだったコイツらや遊亭の皆、この世界を壊させる訳にはいかない…それ位なら俺が全てを壊してやる!」
旦那はボロボロになりながらも、呪文を唱え始めた
「闇よりもなお、昏きもの…」
「その呪文は何処かで…ってマジで世界を滅ぼすつもり?!」
ナツキが叫ぶも、旦那は呪文を唱えていく
「我と汝が力もて等しく滅びを与えんことを、『ギガスレ○ブ‼︎』」
この瞬間、誰もがこの世界に亀裂が入り、砕け散るのを幻視した
旦那の周りの光の剣は消し飛び、そこに立っていたのは闇と黄金を併せ持つ、皆既月食の光の様な禍々しく邪悪なオーラを纏った旦那がいた
「ほう、以前に呼ばれた世界ではろくに力も使えず、意思疎通さえろくに出来ないでいたが、この体はいいな、絶望しながら死ね!」
以前にエバーに降臨した邪悪の化身が、再臨した瞬間であった。
ナツキ「浮気しない男ってどんな人だと思う?」
クー「ブサイク!」
ナツキ「ブサイクでも、そんな顔がいいって人もいるし、顔はどうでも良くて声だけ良ければいい人や、風俗通う人もいるよ」
ムツキ「なら、誠実な男かな?」
ナツキ「普段誠実でも、お酒飲んで理性失ってる時に、好みの女性から声かけられたらどうなると思う?」
クー「なら、どんななの?」
ナツキ「お酒の飲まない人が一番浮気し難いかな、基本男って進化の過程で狩りをする時に臆病じゃないと生き残れなかったから、気弱なのよ、で、その気弱な男が浮気する為にはお酒っていうドーピングが無いと出来ないって訳」
ムツキ「でもお酒飲まない男ってごく少数で、しかもイケメンなんて…」
ナツキ「自分が一緒の時か、家以外で飲まないってのを条件に結婚すると、結構浮気予防になるかな」
クー「でもムツキちゃんって、外の居酒屋で梯子してヘベレケになってるから、説得力ないよ」
ナツキ・ムツキ「「………」」