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神という名の  作者: クリアノート
エピローグ
4/42

第4話 地獄の王

「ジ、ジルは?」


ムツキがナツキに尋ねたが、首を振るナツキ


生贄にさせられた事もあったが、惜しい人を亡くした…


だが、当たる瞬間、笑顔を見せたジルを思い出し、仲間の仇を討てて本望であったのだろう…と思う


「おいおい、折角俺様が来てやったのにドラゴン死んでるじゃね〜か!お前らがやったのか?」


声のする方を見ると、黒を基調としたバンパイヤの様な出立…イケメンだが、ナルシストっぽい雰囲気の男性が立っていた。


明らかに異様で、不機嫌そうにしている


「いえ、やったのはジルというオークです、私達は手伝っただけです」


嘘は言っていない


「なら、そのジルとかいう豚は何処だ?」


「ドラゴンに特攻して、爆死しました」


「はぁ? 詳しく聞かせろ!」


一通り経緯を説明する


「お前ら酷い奴だな、豚を木に括り付けて、ドラゴンに飛ばすとか、俺でもやらんぞ、嫌いじゃないがな」


確かに簡単な説明を聞く限りでは、極悪非道に聞こえなくもない…


「俺の名はベルゼブブ、一応地獄で魔王なんてやっている


 ドラゴンをペットにしようとこんな所まで出向いてやったんだが…まあいい、お前等、代わりに俺の配下になれ!」


「ちょっ、ちょっとまって、少し相談して来ていい?」


「はあ?、お前等に断る権利なんてある訳ないだろうが!、後、そこのクモはそこら辺に捨てていって貰うぞ!」


クーちゃんと離れ離れになる選択肢などある訳もなく、揃って


「「お断りします!」」


ベルゼブブの表情が豹変する


「お前等、俺の誘いを断るとはいい度胸だ、死ね!」


右手の爪が30cm程に伸び、ムツキに切り掛かって来たが、ムツキは辛うじて避けた


「どうせ死ぬんだから、避けてんじゃねえよ」


隣にあった木が斜めにズレて、崩れ落ちたのであった


「いくよ!」


背中に羽がある事を考えると、逃げても追いつかれてしまうので、覚悟を決めた


ナツキは剣を片手に、ムツキは両手の爪で一斉にベルゼブブに切りかかる


だが、ベルゼブブの両手の爪で剣もムツキの爪も切り落とされた。


『ファイヤーボール!』


ナツキとムツキは同時に飛びのき、クーが作った30cm程のファイヤーボールがベルゼブブに放たれた。


『『ファイヤーボール!!』』


ナツキとムツキも飛び退いた拍子にファイヤーボールを放ち追撃する


だが、ベルゼブブは恐ろしい速度で3つのファイヤーボールを躱しクーに肉薄する。


クーは必死に逃げようとしたが、ベルゼブブの爪がクーの胴体を貫ぬき、投げ捨てたのである


「クーちゃん!」


ナツキとムツキは駆けつけ、必死にヒールする


「ご主人…様…」


まるで、ありがとうと言っているかの様に聞こえた、そして生気が無くなり、塩となって崩れ落ちた


「さあ、次はどいつだ?」


ニヤけながら挑発するベルゼブブ


「「よくも!」」


キレたムツキが爪を伸ばして再度切り掛かるが、ベルゼブブの爪に切り飛ばされた


が、ムツキはフッと地面にしゃがみ込んだ


『ファイヤーボール!』


しゃがんだムツキの後ろから、ナツキ準備していた1m程の巨大なファイヤーボールを放った


「なっ!」


ベルゼブブは咄嗟に左に飛んだが、避けきれずに右半身に火傷を負った


「この俺様が…ゆるさん!」


みるみる火傷が治っていき、ベルゼブブの魔力が急速に膨れ上がっていく中、ベルゼブブの背後に一瞬黒い影がよぎった。


ザシュ!


ベルゼブブの体の中央から手が生えた。


「なんじゃこりゃ〜?!」


とベルゼブブが雄叫びを上げたが、なんじゃこりゃ、と言いたいのは此方である。


だが、その手には脈打つ心臓が握られており


ブシュ!


心臓が潰されると、ベルゼブブは塩の彫像へと変わり、砕け散った


あまりの出来事に、ナツキとムツキは呆然と立ち尽くした。


ベルゼブブを殺したのは仮面を付けた男であった。


そしていつの間にか仮面を付けた女も仮面の男の傍にいて、何事も無かったかの様に歩いて立ち去ろうとしていた。


「ちょ、ちょっとまちなさいよ、クーちゃんの仇を横取りするなんて酷いじゃない!」


「君達がベルゼブブに勝てたとでも言うのか?」


「や、やってみなくちゃ分からなかったわよ!」


「威圧されて動けすらしていなかったじゃないか…感謝して貰いたい位なんだが…ああ、悪いけど急いでいるから」


と、姿を消した


「クーちゃん…」


残されたナツキとムツキはクーが消え去った場所で悲しみに暮れたのであった。

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