第38話 王者決定戦 その2
〜 翌日 〜
「これより決勝トーナメント2回戦を初めます」
何故かナツキが司会をしていた、昨夜女将さんに呼び出されていたから、無理矢理やらされているに違いない…
「ナツキちゃん緊張はしてるけど、しっかりやれてるじゃない」
「昨日よりはマシだよね」
と、ムツキとクー
そんなナツキの司会の元、第一試合が始まる
【決勝トーナメント2回戦、一戦目】
女将vsジークハルト
「やっと雪辱を晴らせる」
「あら、戦った事があったかしら?」
「遠い昔、第10回大会で、貴方に手も足も出なかったが、研鑽を積み私は強くなった、その成果をお見せしよう」
『雷帝招来!』
ジークハルトは雷を纏い、物凄い速度で剣と斧で女将に襲いかかった
傍目には早すぎて何が起こっているかも分からないが、女将はひたすら避け続け、防戦一方の様にも見えた
「こうかしら?」
女将がジークハルトと同様に雷を纏って、ジークハルトの剣と斧を剣で弾き飛ばした
「なっっ!『インペリアル・ロア!』」
驚愕しながらも、口から光線を吐き出すも、女将は安易とかわし、ジークハルトの鳩尾に膝蹴りを喰らわし、更に空中で回転して反対の足で蹴り飛ばした
ジークハルトは場外の壁に叩きつけられ、動かなくなった
静まり返る会場
「勝者、遊亭の女将〜!」
ナツキが勝利宣言すると、凄まじい歓声が吹き荒れた
「改めて思うが、お前たちあの女将からよく1本とれたな…」
「そうだよね…奇跡だよね…」
改めて実感するムツキとクー
「次は俺とアスとの試合だから行ってくる」
そう言って旦那は会場に向かっていった
【決勝トーナメント2回戦、二戦目】
旦那vsアズ
両者ともナツキ達が苦戦したヨグソトホートを、瞬殺出来る程の実力の持ち主である
「ねえ、どっちが勝つと思う?」
「ん〜、アズには悪いけど、旦那かな」
「まあね〜散々稽古つけられたけど、本気出している様には見えなかったしね〜」
急いで戻って来たナツキも同意見らしい
そして試合開始の合図があった
『フェアリーダンス!』
アスの周囲から数万、数十万はあろうかとう光の粒子が旦那に襲いかかる
旦那は空中に逃れ呪文を唱え初めると上空に魔法陣が描かれていく
『ハーロ○ーン!』
フェアリーダンスの光を全て消し去り、アズに襲いかかる
「キャァァ!」
アズは咄嗟に上部に光の粒子を集結させたが、かなりなダメージがある様に見える
「くっ、『ミョルニル』」
アズの右手に光が集まり、剣を形作り振り下ろすと、剣がムチの様に伸びて旦那に切りかかる
旦那は剣で受けようとするが、剣を透過して頬にキズをつける
「ほう」
ルシファは剣に魔力を込めると、剣が禍々しい黒のオーラて覆われ、剣を振り下ろすと黒いオーラが斬撃として放たれ、アズに襲いかかる
アズは咄嗟に避けるが、旦那は連続して黒い刃を放つ
アズは必死に避け、避けられない刃は光の剣で受けていたのだが、旦那は黒い刃を放ちながら魔法を唱え始め、上空に魔法陣が描かれていく
「ま、待って、私の負け‼︎」
魔力を消耗し、息も絶え絶えのアズが降伏した
【決勝トーナメント2回戦、三戦目】
ローグ vsシエン
言わずと知れた破壊神ローグと、爆炎の支配者と呼ばれるドラゴニュートのシエン
「最初から全力でいきますが、死なないでくださいね」
『プロミネンス!』
シエンが赤い炎を纏った竜へと変化し、更に同じ赤い炎の竜が4体現れ、5体の炎竜が入り乱れてローグを襲う
『ブリューナグ!』
ローグは光の槍を作り竜を切るが、分身だったようで竜が大爆発を起こした
「グハッ!」
全身に火傷を負ったローグに、残った4体の炎竜が雄叫びを上げながら襲いかかる
「クソッ!」
ローグは光の槍を投擲すると、1体の竜に命中して大爆発をおこした。その隙にローグ上空へと移動し、右手を空にかざす
『スターダスト・レイン!』
空に波紋が広がり、光の流星が竜に降り注ぐ
降り注いだ光が4体全てを貫くと、大爆発を起こした。
煙が晴れると、シエンが舞台の上に転がっていた
「勝者、ローグ!」
お尋ね者で観客も遠慮したせいか、他の者より若干抑え目な歓声が上がった
【決勝トーナメント2回戦、四戦目】
ディアブロ vsフロッグ
闇の申し子ディアブロと、黒尽くめで顔を隠したフロッグ
「ディアブロ様素敵〜」
同じくお尋ね者なのだが、イケメンなので女性からの人気は相変わらずである
試合開始の合図があると、フロッグが右手を上げてると中空に巨大な火の球が型作られていく
その隙を見逃すディアブロではなく、黒の気を纏って拳や蹴りを繰り出す
だが、フロッグは皮一枚で避け、当たらない
フロッグとディアブロのいる場所に火の玉が落ちて来た
フロッグば一瞬の間に10m程放れたが、ディアブロは避け切れないと踏んだのか、前面に黒い壁を展開し、爆風を避けた
だが、瞬時に背後に回り込んだフロッグが背中から強烈な回し蹴りを喰らわし、ディアブロが床に転がる
ディアブロが起き上がり顔を拭うと、腕に血が付いていた
「はあ?、よくも私の顔に傷をぉぉぉ〜!」
顔が歪み、クールなイケメンから、邪悪なイケメンへと豹変した
背中からは蝙蝠の様な翼が生えて全身黒いオーラに包まれ、左右の手から黒いオーラが刃状に伸びた
「殺す、殺す、殺す、殺す!」
余りの豹変ぶりに、応援していた観客もドン引きしている
一瞬でフロッグに肉薄し、先程までとは段違いの速度で手刀を繰り出すが、それでもフロッグには当たらない
フロッグは右手に魔力を幾重にも圧縮し、ディアブロの脇腹にゼロ距離でブチ込む
ドン!!
黒いオーラを弾き飛ばし、更に場外の壁までディアブロを吹き飛ばした
本来なら黄色い悲鳴が聞こえて来たのであろうが、勝利宣言だけが木霊したのであった
〜 翌日、準決勝 〜
「え…と、本日は勝ち残りました4名による準決勝を…」
ナツキがモジモジと司会を初めた
「ナツキちゃん…なんて格好……」
ナツキは黒のレオタードに網々タイツで、恥ずかしそうに司会をしていた
事の発端はやはり女将さんで、昨日の司会がつまらなかったらしく、無理矢理着させられたらしい
観客席はザワついており、逆効果だったのではないだろうか…
「そ、それでは、第一試合を始めます!」
顔を真っ赤にして、ナツキは試合開始を宣言した
【決勝トーナメント準決勝、一戦目】
女将vs旦那
「旦那っていつも女将さんにぶっ飛ばされてるイメージしかないけど、女将さん相手に本気で戦えるのかな?」
「本気でやっても、女将さんが負けるイメージが出来ないよね」
「確かにね〜」
と、ムツキとクーの意見は女将さんが勝つ事で一致した
「手を抜いたりしたら、殺すわよ?!」
女将さんはニッコリしているが目が笑っていない…青褪める旦那
お互い剣を抜き、互いに魔力を込め剣技の応酬が行われた
旦那は呪文を唱え初めると上空に巨大な魔法陣が幾重にも張り巡らせた
「あ、あれナツキちゃんと戦った時と、規模が違う」
『ハーロ○ーン!』
巨大な光の柱が闘技場を包んだ、女将さんは左手で上空に黒いオーラの壁を作り光を防いでいたが、旦那は光が切れる瞬間に切り込んだ
だが女将は安易と右手の剣で防せいでみせた
「本気を出しなさいと言ったんだけど…この程度で本気じゃないわよね?」
上空に先程旦那が作った魔法陣の、倍の魔法陣が女将によって瞬時に作られ、眩い光が降り注ぐ
旦那は瞬時に剣を上に向け、魔力を剣に込めてこれを防ぐが、雷を纏った女将が瞬時に移動し、無防備な旦那の腹に回し蹴りを喰らわし、旦那が吹き飛んだ
だが、空中で止まり場外負けを食い止めた、だがかなりダメージがある様にに見える
「貴方の力はそんなものではないでしょう?力をセーブする事が日常化して、全力の出し方を忘れてしまったの?」
「確かにそうかもしれない」
「ガァァァアーー!!!」
黒い雷が旦那を包み込んだ
次の瞬間、数十の黒いオーラの斬撃を放ち、それを避ける女将に一瞬で肉薄し、ひたすら剣撃を打ち込む
「そう、それが出会った頃の貴方、でもあれから成長してないわ」
8体の青い炎で出来た女将の分身が現れ、それぞれが旦那に斬りかかる
旦那は剣で対応するが、キズが増えていく
女将は左手に光の槍を出現させ、旦那に投擲した
旦那はあまりの速度に反応出来ず、腹に大穴を開けて墜落し、そのまま動かなくなった
「勝負有り!」
ナツキが勝利宣言をすると、女将が即座に旦那に駆け寄り、穴を塞いだ
旦那は数刻後、目を覚ましのであった
【決勝トーナメント準決勝、二戦目】
ローグvsフロッグ
ローグは困惑していた
破壊神と呼び恐れられ、又自らも最強である事を疑わなかった…
先程の女将と旦那の試合を見るまでは
女将に勝てるイメージが出来無かった
そして、自身に芽生えた感情が理解出来ずにいた、それは恐怖であり畏敬であったのである
試合が開始されると
「スターダスト・レイン‼︎」
今までにない量の光の流星が空から降り注ぐ、が、それを舞でも踊るかの様にフロッグは軽やかに躱した
「俺が最強だ〜‼︎」
苛立ったローグの頭から角が6本生え、眼が真っ赤に染り、空へと上がり両手を上げると、両手の上に光が収束し始めた
「ハァ!」
フロッグが気合いを入れると、フードが吹き飛び、金色のオーラが全身を包む
「あ、あれヒカリだよ!」
モケの町を消滅させたヒカリが、フロッグと名前を変えて王者決定戦に参加していたのである
『ジェネサイド・レイ!』
ローグは巨大化した光を闘技場に向けて放ったその時
『カ〜メ〜ハ〜○〜、波〜‼︎』
ヒカリの放った特大のカメハ○波が、ローグのジェネサイド・レイを消し飛ばし、ローグに直撃した
ローグは闘技場に落下して動かなくなり、ヒカリの勝利が決定したのであった。
ナツキ「グリム童話原作 byシンデレラ〜」
ムツキ・クー「「パチパチパチ」」
ナツキ「白雪姫と呼ばれる大層美しい少女がいました、その美しさに嫉妬したのが実の母親の魔女で、狩人に殺して肝臓を取ってこいと命じました」
ムツキ「実の娘に嫉妬して、殺そうとする母親って…」
ナツキ「狩人は不憫に思い、代わりに猪の肝臓を魔女に差し出すと、魔女は喜んで食べました」
クー「実の娘の肝臓だと思ってるのに、喜んで食べるとか…」
ナツキ「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだ〜れ?と聞くと白雪姫だと言われ、ヒステリックになった魔女は直接紐で首を締めて白雪姫を殺害しました」
クー「鏡よ鏡ってのは一緒なんだ」
ナツキ「ところが小人さんが来て紐を切ると白雪姫は蘇生しました、怒り奮闘の魔女はくしに毒を塗って白雪姫の頭を突き刺さして殺しますが、小人さんがくしを抜くとアッサリ蘇生します」
ムツキ「小人さんスゲー」
ナツキ「外的死因があるから生き返るんだ、と考察した魔女は、毒リンゴを食べさせて白雪姫を殺しました、小人さん達は殺された原因が分からず白雪姫を蘇生できません」
ムツキ「三回も殺されるとか、白雪姫はアホの子ですか」
ナツキ「そこにやって来た王子様、白雪姫の美しさに見惚れ、小人さんに死体を譲ってくれと頼み込みます」
クー「ただの変態じゃん!」
ナツキ「死体を貰った王子様は、家来に城に運ばせていましたが、家来が蹴つまずき死体が地面に転がった衝撃で口から毒リンゴが飛び出て、またしても白雪姫が復活しました」
クー「殆どゾンビだよね」
ナツキ「白雪姫は王子様と結婚し、結婚式で魔女に真っ赤に焼けた靴を履かせて死ぬまで踊らせたそうな、メデタシメデタシ」
ムツキ「白雪姫も魔女の遺伝子引き継いじゃってるよ!」