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神という名の  作者: クリアノート
3章 生と死
33/42

第33話 賞金、借金、そして

表彰式には皇帝ジークハルトから直接賞金が手渡されるらしく、ほぼ全ての観衆が帰る事なく、今か今かと席で待っていた


そして大歓声と共に、金色の鎧を纏った、ライオン頭の獣人の皇帝が現れた


如何にも支配者然としているのだが、ネコミミがピンと立ちピョコピョコと動いて、妙に可愛く見えた


「此度は今話題となっている遊亭の旦那が参加し、レベルの高い戦いで我も楽しませて貰った


この武闘大会で勝ち抜いた2名に、栄誉と賞金を授ける


まず優勝者、遊亭の旦那、前に」


皇帝が握手を求め、旦那が応じる


大歓声が響くが、当の本人はえらく力が入り、握りあっている


「女将とは仲良くやっているのか?」


「ああ!」


どうやら、皇帝は女将に気があるらしく、女将は牽制も含めて旦那を参加させた意味もあるようだ


「続いて、準優勝のナツキ」


大歓声に紛れて「ナツキちゃ〜ん」とクーの声援も混じる


「ほう、女将の故郷は強く綺麗な者ばかりなのだな、見事な戦いであった」


女将と同郷である事を即座に見抜いたのは、王である資質によるものなのだろうか


握手を求められ、少し躊躇するも握手を交わし、そして念願であった賞金50万ゴールドを手渡されたのであった


「これにて武闘大会は閉会します


トトカルチョで儲けた人、大金を失った人、多々いるかと思いますが、これだけはお願いします


逆恨みして大会出場者を闇討ちする事だけはやめて下さい」


どうやら過去に逆恨みして闇討ちした事があったようだ…でも闇討ちじゃなきゃいいのか?とも思ったが心の内に留めておいた


皇帝から手渡すのは優勝者と準優勝者のみだったので、クーは閉会してから受付嬢から賞金20万ゴールドを手渡された


宿屋に戻ると、アリスや見知った顔触れが集まっており


「準優勝おめでとう」


と、沢山の人からお祝いの言葉を頂き、又テーブルには沢山料理やお酒が並び、盛大に祝賀会が執り行われた


「ねえ、この料理やお酒ってどうしたの?」


「私の奢りだから気にしないで」


ギルドの受付嬢はそんなに給料貰っているのだろうか…


「流石に悪いよ、賞金も入ったし半分出すから」


「貴方達のお陰で、かなり儲けさせて貰ったから、大丈夫!」


詳しく聞くと、1番人気と圏外に30万ゴールド賭けて、360万ゴールドの配当があったらしい…


「それもこれも、ナツキちゃん達が教えてくれたお陰だよ」


満面の笑みでそう言われた…


確かに旦那が負ける姿は思い浮かばないとも言ったし、ウチらの実力も分かっているのだから1点賭けで十分な気がするが、苦労して3人で70万ゴールド稼いだのに対して、殆どインサイダー取引で330万ゴールドを儲けたアリス…


納得いかない…


「そいえば、ムツキちゃんはどうしたの?」


宿屋の隅っこでイジけているムツキを見て、心配そうに聞いて来た


「ああ、実は…」


ムツキが旦那に愛剣を取られた話をすると


「ナツキちゃんの剣やクーちゃんの槍みたいなのは、そこらに無いからね…」


「やっぱりそうだよね…」


「ああ、でもお宝が眠っているって噂のダンジョンならあるよ?!」


「え、何々?!」


今まで隅っこでイジけていたはずのムツキが、飛びついて来た


「ダンジョン都市って呼ばれる所で、ダンジョンの中には何故か宝箱があって、色々なアイテムが出るんだって」


「ナツキちゃん、クーちゃん、行くよ!」


「でも、結構遠くて帝国から北東に歩いて行くと2〜3ヶ月、飛んで行っても1週間程かかるし、巨大な蟻の大群がいて帰ってこない人もいるらしいよ」


「飛んで行けば直ぐだね」


ムツキは目の色が変わっている、どうやら行かないという選択肢は無さそうだ…


〜 翌日 〜


カジノに向かった3人にオーナーが出迎えてくれた


「昨日はご活躍でしたね、本日は賞金から一部返金という事でよろしかったでしょうか?」


ナツキは机の上にドスンと、金貨の入った袋を置く


「60万ゴールドありますので、お納め下さい


後、これから少し遠出をするので、次とその次位は納めにこれないかもしれないので、上乗せしておいて下さい」


カジノとしては直ぐに完済して貰うよりも、利子だけ払い続けてくれる方が有難く、いざとなれば遊亭の女将に持っていけばいいだけなので


「どうぞどうぞ、ゆっくりと行って来て下さい」


と、笑顔で見送られたのであった…


「お宝目指して、しゅっぱ〜つ!」


〜 3日後 〜


ダンジョン都市に向けて飛ぶ事はや3日、中継地点に町がある為、休憩がてら立ち寄る事にした


「ここがモケの街か〜」


町の規模としては、遊亭のある町と同じ位だろうか、だが道ゆく人は殆ど猫耳、いたる所に、尻尾を大事そうに抱く少女の像が飾られていた


「あなた達、旅人かな?」


親切そうな、女性が声をかけて来た


「ええ、この町は初めてで、何処か良い宿屋ありますか?」


一瞬人々の目が此方に向いてキラリと光った様な気がしたが、周りを見渡すと此方を気にする素振りも無かった


「なら、この大通りを300m程行くと、アズ屋って名前の宿屋があるよ」


言われた通り進んで行くと宿屋の看板がある店に辿りついた


外見は屋根に少女の像がある以外は普通の宿屋である


「いらっしゃいませ〜」


中も少女の像がある以外は、いたって普通であった


「すいません、3人一部屋でお願いします」


「ランクはいくつでしょうか?」


「ランク?」


「ひょっ、ひょっとして…アズ教徒じゃないなんて事…ありません…よね?」


「アズ教?」


「そ、そうですか…本日は一泊で宜しいでしょうか?」


と言われ、とりあえず宿屋で一泊する事にした


「ナツキはん、起きて〜や!」


「ん、んん…」


中々起きないので、クリ棒の柄がバシッとナツキの横面を引っ叩く


「痛!…な、何?」


と、辺りを見渡すと、一面に甘ったるい匂いが立ち込めていた、以前にマンゴラの触手を切り裂いた時に嗅いだ匂いだ


「ま、マズイ」


体は痺れかけているが、まだ何とか動ける程度である


「ムツキちゃん、クーちゃん!」


2人とも、だらしなく涎をたらして、目が飛んでる


「クリ棒、そこら中の壁に穴を開けて、この匂いを風魔法で廊下に流して」


クリ棒が飛び回り木の壁に穴を開けまくり、風魔法で匂いを廊下へと流して貰った


すると


「うわ、何で逆流してんだよ!」


と、遠くから店員の声が聞こえた


店員が混乱している間にナツキは変身して、尻尾をムツキとクーに巻き付けて窓ガラスを突き破って逃げたのである


翌日、モケの町から少し離れた所で目を覚ました3人


「あ、頭痛い…」


「クラクラする…何があったの?」


昨日の夜の事を話すと


「そ、そういえば、町の人全員まるで私達を獲物でも見つけた様な目で見てなかった?」


「そ、そういえば…」


思い当たる節がある


「私達が完全に麻痺したら、生きたままお腹を切り裂いて食べるつもりだったんじゃ…」


「「ヒィィ!?」」


3人とも身震いした


実の所、トリップさせたまま1週間程、アズが如何に素晴らしいか、店員が力説して洗脳する予定であったが、どちらにしても碌でもない話しであった


こんな所には長居は無用だと、旅路を急ぐ3人であった。

ナツキ:「子づくりしましょ、そうしましょ♪」


ムツキ:「何そのヤバイ歌」


ナツキ:「今やってるゲームのギルド員から聞いた、すももももももの最強◯×計画って歌なんだけど、ちょっと表現が直接的過ぎなんだよね、私だったらもう少し濁すかな」


ムツキ:「例えばどんな風に?」


ナツキ:「中出ししましょ、そうしましょ♪」


クー:「ナツキちゃん、それダメなやつ…」


ムツキ:「何を、何処に、の表現が無いから、聞く人によってはシュー生地の中にクリーム出してるんだな〜て思うかも?」


クー:「思わないよ!」


ムツキ:「まあ…コンパで歌ってヒーローになる位しかないよね」


ナツキ:「それだ!」

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