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神という名の  作者: クリアノート
3章 生と死
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第32話 霊界:残されし者

「やってらんないわ!」


ヒカリ(ミカエル)がボヤくのも当然である


エバーに憑依した異界の神?を討伐後、現世では核戦争が起き、殆どの人々が霊界に来てしまい、猫の手も借りたい程忙しい


そんな中、急報が飛び込んできた


「天使長様、煉獄で巨大な組織が結成されたとの事です!」


(ひょっとして、あかりちゃん達?)


と一瞬頭をよぎったヒカリであったが、今更ながらに未練だと思い知る


だが、これ以上問題が起きる事は避けなけれならない為、偵察に出る事にした


一方、地獄では天国以上の混乱を極めていた


「クソッ、なんで俺がこんな事を!」


「も〜、仕方ないじゃないですか、ほら、さっさと仕事してください!」


ヒルダからベルゼブブに催促がかかった


ほぼ素通りで現世に返せばいいだけの天国に比べて、地獄の方が忙しいのは当然である


そもそも何故、かのルシファーが汚名を被ってまで地獄を作り出したのか


人々は進化し、知恵を持った


この知恵というものが癖物で、より良い暮らしをしたい、より楽をしたい等の欲求・欲望を原動力とし、知識から新しい物事を生み出すのが知恵であり、これがあったから人は進化して発展して来た


だから人とは知恵を持てば持つ程、欲求・欲望が肥大化し、堕落していく生き物なのである


そして、大多数の人々が欲望のままに生きる様になったとしたら、現世は強盗、強姦、殺人をするのが当たり前のヒャッハーしている世界になってしまうであろう


こうならない様に、地獄では罪を犯した者に苦痛を与え、魂を改心させて現世に送り出していた


これを怠ると、現世では知恵をつけた人類が堕落の一途を辿る事になる


そう、現世で刑務所が必要な様に、霊界では地獄が必要なのである


そんな忙しい中、煉獄の話が耳に入ると、地獄から逃げ出す様に司も現地に向かった


「ヒカリも来てたのか」


若干嫌な顔をするヒカリ、心のパスは繋がっているが、互いに忙しいせいもあって喧嘩となり、目下冷戦中である


「貴方と出会うなんて、黒猫がよぎった様な気分だわ」


「久しぶりに会ったのに、俺は不幸の象徴か?」


「似た様なものよ、どうせ貴方も煉獄の調査に来たんでしょ?手分けして探すわよ」


有無を言わさず協力して調査する事になったのである


煉獄では1人の少女が神として、崇められていた


元々弱肉強食であった煉獄であるが、現世から流入した大量の人々や、先の大戦で地獄、冥界、魔界、オリンポスから逃げ出した群勢により、混沌と化していく


そこに1人の少女が舞い降りた、白き翼を持ち、神々しい光を放ち、古き言い伝えに聞く神エデンと瓜二つのパンドラと名乗る少女が


「エ、エデン様???」


その姿を見たヒカリは、亡霊でも見たかの様に驚愕する


すると、空を見上げたパンドラが叫ぶ


「見よ、あれがこの混沌を生み出すきっかけを作った大罪人だ!」


先の大戦はラグナロクで天国と地獄の戦力が大幅に衰退した事が原因でもあるし、ミカエルはラグナロクの当事者であるのだから、あながち間違ってはいないのであるが、大罪人とまで言われる筋合いは無い


そして言い返そうと思った矢先に、大量の魔法が地上から降り注ぎ、天狗やら龍人やらの軍勢が飛んで来たので、とりあえず飛び去ったのである


「えらく息切れしているが、何かあったのか?」


追手を全速力で撒いたヒカリは、司との合流地点で再会して事の顛末を話した


「ブハハハハ、神の使いとまで言われたヒカリが、大罪人!!!」


「つ〜か〜さ〜」


笑い転げる司の頬をつねり上げるヒカリ


「まあ、まあ、エデンに似た人物ってのはどの程度だ?ムツキみたいに雰囲気が似ているってレベルか?」


「似ているっていうか、見た目は本人そのもの、違うのは圧倒的な存在感が無かった事かしら」


ヒカリは遠い昔、エデンに拝謁した事を思い出す


荘厳で圧倒的なオーラを放ち、思わず膝まずかずにいられない程であった


「もしかして、転生されて記憶が無いとか?」


「無い、とは言い切れないわね、世界が混沌と化した事を憂いて転生された…のかも?」


「何にしても、本人かどうか確認する必要があるのだけど、確かめる術はあるのか?」


考え込むヒカリ


「ルシファーがいたら直ぐに判るんだがな〜」


ラグナロクでヒカリがブチ殺してしまっている


「特大魔法ぶち込んで、生き残ったら本人とか?(笑)」


「もし本人だったら、あなた一瞬で消滅するわよ?(笑)」


あのルシファーが全盛期の時でさえ、手も足も出なかった事を思い出し、ゾッとする


「私が魂を確認すればエデン様かどうか確かめられるのだけど、触れないといけないから、注意を引き付けておけないかしら?」


「具体的にはどうしろと?」


「彼女の目の届く所に現れてくれるだけでいいわ」


それならと安請け合いしたのだが、この後激しく後悔した


姿を見せた途端に有無を言わせず魔法の集中砲火を浴びたのである。


そんな折、エデンの遥後方よりヒカリが高速で飛来し、パンドラの隣りに降り立ち手に触れた。


「なっ!」


司が驚くのも無理はない、ヒカリは触れた手から黒く変色していったのである


「マジか!」


黒色に変わったヒカリが司を攻撃してきた、司が高速で上昇すると、ヒカリだけがその速度に追随して追って来る


「女性に追いかけられるのは好きだが、今時ガン黒はどうかと思うぞ、クッ!」


返答の代わりに風の刃が飛んで来る始末、飛行速度ではヒカリに勝てないと踏んで爆裂魔法で煙幕を張り、急激な方向転換を図るも追って来る


「クソッ、腹を括るしかないか!」


ヒカリにダメージを負わせて、追尾を振り切るか、あわよくば正気に戻ってくれないかな〜という淡い期待を胸に


「カイザード アルザード…」


逃げながら魔法を詠唱した


『ハーロ○ーン!!』


威力は劣るが広範囲を対象とした極光が放たれ、ヒカリ(ミカエル)に直撃した


「ま、まさか死んでないよな?」


光が消え去った後には、ガン黒アフロとなり、口を三日月型にして笑うヒカリがいた


「ハッ!」


金色のオーラを纏ったヒカリ(ミカエル)が瞬時に司に肉薄し、膝蹴りを鳩尾に喰らわし、両手を組み背中を叩きつけ、地上へと落下させた


『カーメー○ーメー派〜!』


落下中に追撃とばかりに、カメ○メ派を放つ


司は避けようとしたが、左半分に被弾した。


「グッ!!」


なんとか再生させたものの、ダメージは残る


「このままじゃ、マズイな…」


一か八かでパンドラに最大威力の魔法を叩きつける為、パンドラのいた方に飛んだ


ヒカリの攻撃を避けながら、呪文を唱え始める


だがパンドラはいきなり目の前に現れ


『ビックバン・ノヴァ!』


司の不意をつき、パンドラを中心に凄まじい爆発が起きた


〜 1時間後 〜


「大丈夫か?」


目を開けると司の前に弥勒菩薩がいた


「お前、生きていたのか!」


極楽とオリンポス・冥界連合軍との戦闘で自爆したかに思われたが、直前に透明なクリスタルウォールを傘の様に展開し、吹き飛ばされて土の中までめり込み、瀕死の状態ではあったが生き延びていた


だが、余計な仕事を天国や地獄から押し付けられては叶わないので、暫く隠れていたのである


「瀕死の重症で命かながらね…最近目が覚めた所だよ」


両手から暖かい光が放たれ、キズが癒えていくのを感じるが、相当なダメージを負っていたのであろう、未だに起き上がる事すら出来ない


「どうやら迷惑をかけたようだな」


「いや、此方こそすまない、戦闘が行われてると解って駆けつけたのだが、間に合わなかった」


「あのエデン様に良く似た少女パンドラと、ミカエル様を黒く染めた様な少女ヒカリはなんなんだ?」


今迄の経緯を話し、黒く染まったヒカリを元に戻せないか聞いてみたが、そもそもその様な症例が無いという…厳密には1件だけある…クーが乗ったエバーが闇に染まった最悪の悪夢である


その悪夢は、クーとエバーが消滅する事で終わりを告げたのであるが…


「なあ、少女がエデン様かどうか判別なんて出来るか?」


「私は魂の色を見分ける事が出来るから、ある程度の距離まで近づけば分かるよ」


こうして2人は少女とヒカリがいるだろう場所の遥か上空へと飛んだ


「ここまで似ているのは驚きだが、別人だね」


そう言われて、ガッカリ半分、ホッとしたのが半分である


この霊界においてエデンとは信仰の対象であり、神と呼ばれた存在


復活したとなれば希望となったはずなのだから


だが、パンドラはエデンとは別人で、ヒカリを戻す為には倒す以外、手が見当たらない


「すまんが、手伝ってくれ」


弥勒菩薩としてもこのままでは、この世界が更なる混沌へと陥ってしまう


司が弥勒菩薩の手を取ると、カケラすら見えなかったパンドラの位置が鮮明に確認出来た


司は呪文を唱え始めると、弥勒菩薩も司へと魔力を送り魔法陣が描かれていく


上に行く程大きくなった7つの魔法陣が描かれた時


『ハーロ○ーン!』


2人分の魔力を乗せ虫眼鏡の様に光を集約する極大集約魔法が、パンドラの知覚外から放たれた


放たれた瞬間ヒカリはハーロ○ーンを察知した為、高速で移動しパンドラを突き飛ばした


放たれた極光は、ヒカリを右手だけ残して消滅させ、残された右手も黒い光となって消えていく


その瞬間を弥勒菩薩を通じて見せられた司は、現世で総理大臣の替わりにヒカリを刺して殺した事がフラッシュバックした


「ク、ソ、ガァァァ‼︎」


激昂し、弥勒菩薩の手を振り切った


「ブー・レイ・ブー・レイ…」


急降下しながら呪文を唱えていく


『エグ・ゾー○ス!!』


司は己の全てを超高温の炎へと変えて少女へと速度を上げながら落下した


それは青き流星の如き煌きを放ち、パンドラに直撃した


司とパンドラは、塵も残さず霊界から消滅したのであった。

ナツキ:「この話って最初、全92話とか書いて無かった?」


クー:「あれ?今見たら全42話になってるよ」


ナツキ:「やるやる詐欺?」


ムツキ:「ああ、前は1話に文字数800文字とか異様に少なくて、集約してたよ」


クー:「800文字って…チラッと眺めたら終わりじゃん」


ナツキ:「ど素人って怖いよね〜」


ムツキ:「全く!」


クー:「き、きっと作者寝ないで頑張ってる…はず…」


ムツキ:「毎日、仕事から帰った後、ゲームやって、8時間睡眠とってるよ」


ナツキ:「も〜ちょっと頑張ってくれてたら…」


ムツキ:「いや…作者の感性、世間とズレてるから…」


ナツキ:「頭がズレてるのか…」


クー:「別の意味に聞こえるw」

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